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3.大脳皮質の回路形成におけるゲノム構造制御機構に関する研究

 神経細胞の多様性は、発生期における遺伝的プログラムと可塑性期の経験や学習といった神経活動依存的な遺伝子発現を介して起こり、大脳皮質の回路形成に不可欠である。これは、転写因子を基本としたゲノムの塩基配列情報とDNAのメチル化やクロマチン構造変換といったエピジェネティックな遺伝子発現制御により起こると考えられるが、分子メカニズムはほとんど明らかにされていない。免疫系においては、転写因子やクロマチン制御因子、DNA修復酵素がV(D)J組換えやクラススイッチ組換えといったゲノム再構築による多様性形成に関与していることが明らかになっている。一方、神経系においては、DNA修復遺伝子DNAポリメラーゼβのノックアウトマウスで分化直後の神経細胞が異常なアポトーシスを起こすこと、並びに大脳において神経投射異常が生じることから類似のゲノム構造制御機構が存在している可能性が示唆される。そこで我々は、DNA修復酵素に蛍光タンパク質を融合した遺伝子のベクターを大脳皮質神経細胞に導入しDNA修復酵素を可視化して時空間的動態を解析している。さらに、神経細胞特異的な転写因子と同時に解析することで、神経細胞の遺伝子発現調節におけるゲノム構造制御機構を明らかにすることを目指している。


Sugo N, Niimi N, Aratani Y, Takiguchi-Hayashi K, Koyama H (2004)
p53 Deficiency rescues neuronal apoptosis but not differentiation in DNA polymerase beta-deficient mice.

Mol Cell Biol 24(21): 9470-7.




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