偏光顕微鏡のなぞ-04
位相が異なったら?
X,Y,それぞれの波形の位相をδx,δy,とすれば,
\(\Large E_x (z,t) = E_{0x} \ cos (kz - \omega t + \delta_x) \)
\(\Large E_y (z,t) = E_{0y} \ cos (kz - \omega t + \delta_y) \)
ここで,簡単に,z=0, E0x=E0y=1,δx=0,δy=π/2,とすれば,
\(\Large E_x (0,t) = cos ( - \omega t) \)
\(\Large E_y (0,t) = cos ( - \omega t + \frac{\pi}{2}) \)
\(\Large \begin{eqnarray} tan \theta &=&
\frac{y}{x} \\
&=& \frac{cos ( - \omega t + \frac{\pi}{2})}{cos ( - \omega t)} \\
&=& \frac{-sin ( - \omega t )}{cos ( - \omega t)} \\
&=& tan ( \omega t ) \\
\end{eqnarray} \)
\(\Large \theta = \omega t \)
となり,角度が時間とともに変化することがわかります.
また,
\(\Large E_x (0,t)^2 +E_y (0,t)^2 = cos^2 ( - \omega t) +sin^2 ( - \omega t) = 1 \)
となり,偏光面が円運動することがわかります.
このことを,円偏光,と呼びます.
XY平面でプロットすると,
となります.
ここで,簡単に,z=0, E0x=E0y=1,δx=0,δy=0,とすれば,
となり,直線偏光になります.
z=0, E0x=E0y=1,δx=0,δy=π/4,とすれば,
となり,楕円偏光,となります.
つまり,変更面の時間変化を見ると,
となり,直線偏光の場合に比べて,垂直成分が発生することになります.
つまり,クロスニコル状態でも光が透過することになります.
つまり....複屈折を有する生体試料を偏光顕微鏡で観察できるのは...
偏光面が回転しているわけではなく,
直線偏光が楕円変更になり,
クロスニコル状態でも光が透過する
と考えて良さそうです.
これが真実かどうかは....わかりませんが.....一応複屈折の定義から説明できそうです.
では,次にどの程度光が透過するかを考えていきましょう.