結像,その1

さて,レンズには光を集光させる能力を持っていることがわかりました.
実は,ものを拡大する性質も持っているのです.

さて,前ページと同様に,左側のレンズからS1の距離から発せられた光の軌跡を追ってみましょう.
点線は前ページ同様,レンズと同じ軸から発せられた光の軌跡です,S2の位置に集光していることがわかります.

さて,S1の位置に鉛筆を置いて,その先端からの光がどうなるかを考えていきましょう.
まずは,軸と平行な光.
これは,平行なので,レンズを通して右側の焦点に到達し,さらに進んでいきます.
次に,レンズの中心に向かう光.
先ほど述べたように,レンズの左右は区別されないので,左から来ようが右から来ようが違いがありません.
つまり,レンズの中心に向かう光は,屈折されずに直進するのです.
この二つの光が交差する点が,鉛筆の先端が像を結ぶ点です.
このことを,
 結像
と呼びます.
もちろん,鉛筆の先端からの光はこの2点,平行な光,と中心に向かう光だけではありません.
レンズに入射されたすべての点が右側に集光されるのです.

では,この高さはどうなるのでしょう?
下の図のAとBとの比を求めてみましょう.

ここで,色づけしたエリア,を注目してみましょう.
緑の三角形とピンクの三角形は相似形ですね.
ですので,


となり,像が拡大されて,拡大率が上の式で表すことができるのです.

では,例を挙げてみましょう.

・焦点距離の2倍の場合
もし,F=100mmで,S1=200mm,の場合,

1/200+1/S2=1/100
S2=200
S2/S1=1
となります.
つまり,拡大率は1,同じ大きさの像が結像されます.

・焦点距離の3倍の場合
もし,F=100mmで,S1=300mm,の場合,

1/300+1/S2=1/100
S2=150
S2/S1=0.5
となります.
つまり,焦点距離の3倍の場合,縮小された像が結像されます.

つまり,物体をできるだけ,焦点に近づければ,大きな像を得ることができるのです.
たとえば,
 F=100mmで110mmに物体をおいた場合,11倍
 F=100mmで101mmに物体をおいた場合,101倍
 F=100mmで100.1mmに物体をおいた場合,1001倍
となります.
結構微妙ですね....
最後の1001倍の場合,ほんのちょっと動かしただけで拡大率が大幅に変わり,さらに100mmをちょっとでも下回った場合,結像されなくなってしまうのです.
さらにちょっとでも物体に厚みがあった場合,それぞれに拡大率が変わってしまいます.
となると,レンズによる拡大はこの程度なのでしょうか?

違います!
それが,顕微鏡なのです.

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