偏光顕微鏡のなぞ-01
なぜ,偏光顕微鏡で生体試料が観察できる?
授業などで偏光顕微鏡を教えていますが,定性的な教え方しかしていません..(反省..)
なんで,偏光顕微鏡で生体試料が観察できるの?
という根本的な原理について,授業では,
生体試料の複屈折性から偏光面が回転するから
と教えていました.
しかし,
なぜ,生体試料を通過すると偏光面が回転するの?
という基本的な原理については曖昧にしていました.
今回,学生からの質問に対して,いろいろ考えてみると,
偏光面は回転しているのではないのでは?
直線偏光が楕円偏光に変わったのでは?
という結論に至りました...しかし,これが正解かどうかはまだわかりません.
今回は,産総研の加藤薫さんにいろいろとご教授いただきました,ありがとうございます.
複屈折
生体試料が偏光顕微鏡で観察できるのは生体試料の複屈折性があるから,と言われています.
複屈折?調べてみると,
光学的に等方的でない結晶などに光が入射して二つの屈折光線が現れる現象 (大辞林)
この現象は,それぞれの偏光の向きに対して2つの異なる物質の屈折率を与えることで説明される(Wiki)
X軸とY軸とで光学的に違う性質(光の通過速度=屈折率が異なる)を持つから (ユニオプト)
とあるように,屈折率に異方性があるために起こる現象のようです.
屈折率が異なる,と言うことは,物質内の光の進む速度が異なるので,結果として物質を通る光に位相の差が発生する,と言うことになります.
すると,光路もそれぞれに異なり,方解石のように二重に観察できるようです (結晶美術館)
このような特性を,生体試料のある組織が持つために偏光顕微鏡で観察可能のようです.
では,偏光が回転する,とはどう考えればよいでしょう?