吸光-01
吸光とは?
吸光とはどのような現象を言うのでしょう?
それは,
ある波長の光がある物質の溶液層を通過する間に,その強さがI0(入射光の強さ)からI(透過光の強さ)に変化することを言います.
このサイトでは,ある物質とは濃度cの溶液のことを示します.
透過率とは?
透過率とは,
光の強さがI0(入射光の強さ)からI(透過光の強さ)に変化するときの割合
を言います.つまり,
\(\Large t \ = \ \frac{I(x)}{I_0} \)
となります.ここでxとは溶液層の厚みを示します.
では,厚みが変わると透過率はどう変化するでしょうか?
例えば,
90%の透過率の試料の厚みを倍にした場合,透過率は80%でしょうか?
違います!その場合,10倍にしたら透過率は0となってしまいます.(50%の透過率の場合,2枚で0%).
考え方は,
厚みが倍=元の厚みを2枚分通過する
と考えれば良いので,
1枚め:90%
2枚め:90%✕90%=81%
となるのです.つまり,
べき乗で効いてくる
のです.このことは後で述べますが,濃度にも言えます.
吸光度(A, abs : absorbance),光学密度(O.D. : optical density)
吸光度,A,は以下の式で定義されます.
\(\Large A \ = \ - log \ t = -log \frac{I(x)}{I_0} \)
ここでのlogは常用対数(10の何乗)です.
透過率と溶液の濃度,溶液の厚み,溶液固有の性質は以下の関係式で表すことができます.
\(\Large t = \frac{I(x)}{I_0} = 10^{-A} \)
\(\Large A = \varepsilon \ c \ x \)
ここで,
ε : モル分子吸光係数 (1/M 1/cm)
c : 溶液の濃度 (M)
x : 溶液の厚み (cm)
です.
この式は,ランベルト・ベールの法則,と呼ばれています.
このように,透過率と溶液の厚み,濃度との関係は比例ではなくべき乗で効いています.
ではどのようにしてこの式を導出するのでしょうか?次ページに説明します.