まずは,実験装置の説明から.
回転を計測するには,回転の位置情報を正確に計測する必要があります.
しかし,回転しているフィラメントはたかだか40ナノメートル,光学顕微鏡ではなかなかしんどい太さです.
そこで,プローブを取り付けて,その重心位置から回転を求めます.
下の図が装置図です.
詳しくは,ナノ計測の説明のところをご覧ください.
さて,回転運動がどのようにして4分割フォトダイオードに感知されるかというと,以下の図を見ると理解しやすいですね.
これは,原点Oを中心として,距離rで回転運動する物体です.
x投影,y投影の位置は,
x=r cosθ
y=r sin θ
で表すことができます.
ここで,角度θは時間とともに変化するので,
θ=ω×t
となります.
実際のべん毛モーターの回転の様子は,
となり,きれいに余弦波,正弦波になっていることがわかります.
それぞれの波の周波数は同じ,ω,なので,これらの波形のフーリエ変換を取ると,以下のようになります.
ここでは,約180Hzで回転していることがわかりますね.
さて,先ほどのX,Yの変化を二次元にプロットし直すと,
となり,べん毛モーターの回転運動を再現することができます.
このようにして,べん毛モーターの回転を4分割のフォトダイオードを用いて計測,記録,するのです.
次に,回転の様子の詳細を見ていきましょう.