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記憶や学習などの脳の高次機能発現を規定する細胞生物学的基盤は、その生物がいかに特異的でかつ多様な神経回路網を構築しているかによります。私たちは、このような神経回路網の形成過程を制御する分子メカニズムの解明に取り組んでいます。


研究概要

神経系の発生過程において、個々の神経細胞の個性(運命)が決定されると、その細胞はその固有の遺伝プログラムに基づき細胞自律的な挙動を示すようになります。このプログラムには、神経細胞のサブタイプに特有の軸索伸長路選択と標的認識機構が含まれており、そのプログラムの獲得は自分の指定された最終標的への特異的な軸索伸長路選択と標的認識には必須であることが今までの研究から分かってきました。私たちは現在、このサブタイプ固有の軸索ガイダンスプログラムの発現機構ならびに、その後の標的認識機構の分子レベルでの解明を目指しています。


お知らせ (Latest News)

2015. 09. 24
原聡史君の論文がJournal of Comparative Neurology 誌の「Early View」で取り上げられ、プリントに先行してOnlineでpublishされました。


2015.08.21
原聡史君の論文がJournal of Comparative Neurology 誌に受理されました。

Hara, S., Kaneyama, T., Inamata, Y., Onodera, R., and Shirasaki, R. (2016).
Interstitial Branch Formation within the Red Nucleus by Deep Cerebellar Nuclei-Derived Commissural Axons during Target Recognition.
Journal of Comparative Neurology 524, 999-1014.

(論文の内容)
本研究では、交連ニューロン特異的な遺伝学的可視化技術を哺乳類マウスの小脳核ニューロン(脳における主要な交連ニューロンで小脳の出力投射系)由来の交連ニューロンに適用し、そのシナプス形成標的細胞である脳幹の赤核細胞をも同時に特異的にラベルできる実験システムを構築することで、小脳核ニューロンの赤核細胞認識過程の詳細を実際の生体内で捉えることに成功しました。本研究成果は交連ニューロンのシナプス形成標的細胞を認識する過程を捉えた初めてのものであり、これにより正中交差後の交連ニューロンの標的認識機構の一端を世界に先駆けて明らかにしました。また、ここで得られた成果は故塚原仲晃博士(1985年、日航123便に乗り合わせ御巣鷹山にて没)が長年解明されようとしていた赤核での神経軸索発芽メカニズムの研究の基盤を進展させる重要な成果ともなります。


2014. 03. 04
稲又靖之君の論文がDevelopment 誌 (2014, 141-6号)の「IN THIS ISSUE」で取り上げられ、紹介されました。


2014. 01. 13
稲又靖之君の論文がDevelopment 誌に受理されました。

Inamata, Y., and Shirasaki, R. (2014).
Dbx1 Triggers Crucial Molecular Programs Required for Midline Crossing by Midbrain Commissural Axons.
Development 141, 1260-1271.

(論文の内容)
本研究において、ホメオボックス型転写調節因子であるDbx1が交連ニューロンの運命決定を担う中核的な分子であることを突き止めました。さらに、Dbx1の転写プログラムによって制御されている正中交差に必須の軸索ガイダンスプログラムの実体も明らかにすることに成功しました。交連ニューロンは体の左右の情報の伝達を司る極めて重要な神経細胞群ですが、その生み出される分子メカニズムには不明な点が多く残されています。本研究成果は、交連ニューロンの運命決定因子としての必要十分条件を満たす決定的な転写調節因子を見いだした世界で最初の画期的な成果となります。


Ryuichi Shirasaki, Ph.D.
(Associate Professor)

大阪大学大学院・生命機能研究科
脳神経工学講座
白崎 竜一


Tel: +81-(0)6-6879-4635
Fax: +81-(0)6-6879-4635
E-mail: shirasaki [at] fbs.osaka-u.ac.jp


Last Updated: 2017/05/12



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