さて,それではミオシン分子の発生する張力の大きさを先に述べた数から見積もってみましょう.
あくまで,10の12乗のレベルの総和からの計算であることに注意してください.
まずは,筋肉の構造をもう一度見直してみましょう.
骨格筋の構造は,
筋肉
筋繊維
筋原繊維
のような階層構造となっています.
その筋原繊維の中を見ると,長軸方向にきれいな周期構造を見ることができます.
この周期構造から骨格筋は,
横紋筋
と呼ばれています.
この周期構造の単位を,
サルコメア
と呼びます.
サルコメアは,Z-line,と呼ばれる区切りで分けられています.
その中に,
太いフィラメント(ミオシンフィラメント,Thick filament)
細いフィラメント(アクチンフィラメント,Thin filament)
なるフィラメントが存在します.
これらのフィラメントがお互いに滑り込むことによってサルコメアの長さが短くなります.
サルコメアは長軸方向に連続していますので,一つ一つのサルコメアがちょっぴり短くなっても全体的に大きな変位となるのです.
ここで注意しなくてはならないのは,
変位を決めるのは,サルコメアの長さ変化×サルコメアの数
ですが,
力を決めるのは,サルコメアに含まれているミオシン分子の数
に依存します.
サルコメアの数が多いからといって力が大きくなるわけではないのです.
各フィラメントを構成する主なタンパク質は,
太いフィラメント(Thick filament) : ミオシン
細いフィラメント(Thin filament) : アクチン
です.
では次に,どのくらいの数のミオシン分子が含まれているかを計算してみましょう.