パワースペクトルの実際の作業内容-09

 ローパスフィルタ

 

ローパスフィルタとは,ここ,にあるように,

 ある周波数より低い周波数の成分はほとんど減衰させず,高い周波数の成分を減衰させるフィルタ

となります.

この逆が,ハイパスフィルタ(低い周波数成分を減衰させる)

ある周波数帯のみを透過させるのが,バンドバスフィルタ

ある周波数帯のみを減衰させるのが,バンドストップフィルタ

です.

フィルタにもいろんな手法があるようです. 
 FIR窓処理フィルタ
 サビツキー・ゴーレイFIR平滑化フィルタ
 ゼロ位相のフィルタ
 チェビシェフ
 バタワースフィルタ
 ベッセルフィルタ
 逆fフィルタ
 逆チェビシェフフィルタ
 数学的モフォロジーフィルタ
 楕円フィルタ
 中央値フィルタ
 等リプルフィルタ

などなど(いずれも,Labviewコマンドより).

移動平均もローパスフィルタの一種ですね.

私にはこれらの原理,計算方法,特性など...まったくわかりません....

ですので,特性のよいフィルターを選びます.それは,
 カット周波数がシャープ
 透過領域が平坦(できれば100%)
 減衰領域が限りなく0に近い

というものでしょうか.

実際に,Labview,でいくつかのフィルタ特性を調べてみました.

という具合になりました.これは単にFFTの計算です.また各種フィルターはパラメータの設定によって特性が変わります.

これを見ると,”チェビシェフフィルタ”が上記の条件を満たしているので,これを使っていこうと思います(見た目なのでちゃんとした根拠はありません)

移動平均の特性がとても緩やかなのがわかります.

 

チェビシェフフィルタを通して,間引きした結果が下図となります.

元データ
 一様ホワイトノイズ
実際の波形の時間 (s) : Stime = 1.028 s
サンプル周波数 (1/s) : Sfreq = 2,000 kHz
サンプル時間分解能 (s) : dt = 0.0005 ms
実際の波形の数 : n = 2048

間引き方 : 1/2
加算平均 : 1000回

上が元波形,中段が間引きのみ,下段がフィルターを通した後間引いた結果,となります.

右の(左側)の分散値のように,下段のフィルター・間引きの波形の分散値が半分になっていることがわかります.

実際にパワースペクトルをとってみました.

 フィルター特性:チェビシェフフィルタ
 高域カットオフ周波数:525 Hz
 低域カットオフ周波数:475 Hz
 リプル(dB) : 0.1
 次数 : 8

です(細かいパラメータの意味は...知りません..特に次数など...すいません)

赤線が元波形,白線が間引きのみ,緑線がフィルターを通した後に間引いた結果,となります.

きれいに,パワーが元波形と一緒で,周波数帯が半分になっていることがわかります.

上の上の波形データの右端の分散値はパワースペクトルから求めた分散値です,ちゃんと半分になっています.

つまり,作業手順として,
 ローパスフィルタで高周波領域をカット
 カット周波数に応じてデータを間引く

となります.

例えば,
 元データのサンプル周波数が,2 kHz,なら
 周波数帯はその半分の1 kHz
 半分(500 Hz)でカットしたいなら,
 500 Hzのローパスフィルタを通す
 500 Hz/1000 Hz = 1/2,なので一つずつ間引く

ことで達成できます.

これで低周波領域対策は完了です.

では,高周波領域はどうしたらいいでしょう?

 

 

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