どのようにナノメートルレベルの変位を計測するの?

さて,原理上は光学顕微鏡の分解能の限界をうけずにナノメートルのオーダーで変位を計測することができることがわかりました.
では,どのようにして計測するのでしょう?
それは,
 フォトダイオード
を用いるのです.
フォトダイオードとは,
 光の量に比例して電流を発生する素子
です.
つまり,
 光の量が増えると,発生する電流の値が増える
ものです.
このフォトダイオードを複数(2個もしくは4個)使って,輝点の重心位置の変化を計測するのです.

具体的なイメージは,以下のアニメーションをご覧ください.

このように,2分割,もしくは4分割のフォトダイオードを並べて,その差動出力から変位を電圧として(電流から電圧に変換して)計測するのです.
我々は元々,上村先生からこの手法を習いました.
彼らは分割フォトダイオードの代わりに,プリズムを用い,輝点からの光を2分していました.

さて,2分割フォトダイオードの場合,1次元の変位を計測できます.

その際の出力は,
 A-B
となります.

さて,4分割の場合はどうでしょう?
4分割では二次元の変位を計測できます.

X方向(画面の横方向とする)の変位は,
 (A+C)-(B+D)
Y方向(画面の縦方向とする)の変位は,
 (A+B)-(C+D)
となりますね.
つまり,全部で6つのアンプを組んだ回路を作成しなくてはなりません.
しかし,回路が複雑になると,作成も大変だし,ノイズも増えてしまいます.

そこで,
 A-D
 B-C
という対角線上の差動出力をまず取ります.
そして,それぞれの差,和,を取ると,
 (A-D)-(B-C)=(A+C)-(B+D) => X方向の変位
 (A-D)+(B-C)=(A+B)-(C+D) => Y方向の変位 
となります.つまり4つのアンプですむのです.

輝点からの光はかなり微弱です.
ですので,電気回路でかなり増幅します.
その際に,発生するノイズを以下に低減するか,がこの計測の肝となります.

さて,次に,実際の差動出力がどのようなカーブになるかを計算してみましょう.

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