さて,前にも述べましたように,我々が光の変化として認識できるのは,
光の強度 : 振幅
光の色 : 波長
しかありません.
細胞などの生体試料はそのほとんどが水です.
水はご存じのように光をほとんど透過します.
もちろん,ある程度は吸収し,赤い光ほど吸収されやすくなります.
ですので,海中では赤い光はほとんど届かず,青の世界になってしますのです.
しかし,生体試料はほんの小さいものなので,光の吸収はほとんどありません.
ですので,
光の強度変化
はほとんどなく,さらに,
波長の変化
もありません.
つまり....生体試料は顕微鏡観察においては,振幅,波長はほとんど変化がないのです.
言い換えると....生体試料は透明なので,いくら拡大しても,見ることができない,と言うことになります.
しかし,若干ながら変わるものがあります,それは,
位相
なのです.
生体試料はほとんど透明であっても,中にはいろいろなものが入っていますので,
屈折率が周りの水より若干高い
のです,つまり,
光の進む速度が若干遅くなる
のです.
その結果,
生体試料通過後の光は周囲の光より若干位相が遅れる
のです.
これをベクトルで表すと次のようになります.
確かに,位相の変化がありました....しかし..
我々には位相の変化を認識できない
のです...
つまり,いくら位相情報が変化しても,その変化がわからないのです...
そこで,位相差顕微鏡,です.
位相差顕微鏡とは,
位相情報の変化を強度変化に変換する顕微鏡
と言えます.
強度変化に変換できれば,我々はその変化を認識できるのです.
では,どのようにして変換するのでしょうか?