菌体内ナトリウム濃度の測定,その10

何回かのやりとりのあと,Loのくれた添付ファイルでやっと理解できました.
それが,この図です.


                               Loのメールより

なんと,F0,の定義そのものが図3とは違ったのです.
F0は時刻0での蛍光強度ではなく,退色のフィッティングカーブそのものだったのです!
このフィッティングカーブと,実際に取得したデータとのずれ,が彼の言う,s/nの分母であるノイズだったのです.....

この図を見ればわかるように,ほぼ指数関数のフィッティングカーブであっていますが,若干の偏差は伴います.
その偏差分が測定した蛍光強度とどの程度の割合かを示したのが,彼の言うs/nなのでした....

この値が大きい場合には蛍光強度の補正はある程度正しいですが,小さくなると補正はどんどん正確でなくなってしまいます.
その限界をきちんと明示するために,彼はこのような定義を用意したのです.
実験開始時にはs/n=50だったのが,ある程度の照射後には,s/n=2となり,正確性を失う,と言うものでした..

と言うことで,なんとか納得したのでした...

蛍光イメージングの技術はどんどん広がり,現在の顕微鏡を用いた研究の主流となっています.
しかし,今までのほとんどの研究は,
 局在,分布
などで,なかなか蛍光強度自体での定量的な解析はなされていませんでした.
従って,この論文は,蛍光強度の定量性をきちんと解析したなかなかよい論文です.
さらに,細胞内のイオン濃度を蛍光で定量する,というある意味画期的な論文です.
我々も見習いたいですね...ちょっと定義の曖昧さがありますが....Ipeakとか,Foとか..

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