・実際のデータの解析,逐次反応の場合

では,逐次反応の場合の持続時間を考えてみましょう.


一番身近な反応は,
  アクトミオシン相互作用における張力発生イベント
です.

具体的なデータをお示ししましょう.

これは,確か,2003年の車軸藻ミオシンの張力,変位発生の時間トレースを表示したものです.
2秒近辺や7秒近辺に変位が見られます.
この力学反応がどう化学反応と相関しているかというと,

と考えることができます.
リン酸(Pi)の放出と変位発生が相関しているかはよくはわかりません.

しかし,変位発生時の持続時間は,
 ミオシンからのADPの解離
 ミオシンへの新しいATPの結合

という二つのイベントによるものである,と言うことは間違いないでしょう.
これを化学反応スキームで表すと,

となります.
ここで,
 A:アクチン
 M:ミオシン
ですね.
ここで,最後の反応,A.M.ATP→M.ATP,は非常に速いので,実質的には,持続時間は,先に述べた二つの反応によって決まります.

さて,おのおの二つの反応は単純な一次反応ですから,その持続時間は指数関数的減少になります.
では,その二つが並んだ場合の持続時間の分布はどうなるでしょう?

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