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細胞ネットワーク講座

ミトコンドリア動態学研究室

岡本 浩二 准教授 岡本 浩二 准教授

キーワード:

酵母、ミトコンドリア、オルガネラ、マイトファジー

ミトコンドリアの質・量管理機構を解明する

ミトコンドリアは「細胞の発電所」とも呼ばれ、生命活動のためのエネルギーを供給するオルガネラであり、細胞のエネルギー需要に応答してその量が増減します。また、活性酸素種による酸化ストレスによって障害を受けたミトコンドリアは、選択的に排除されます。このような、ミトコンドリアの量や品質を管理する機構は「マイトファジー」と呼ばれ、その破綻は様々な病態を引き起こすと考えられています。マイトファジーはミトコンドリアを丸ごと分別・除去する仕組みであり、酵母からヒトまで保存された分解プロセスです。私たちのグループでは、マイトファジーの基本原理を分子・細胞レベルで明らかにし、その生理機能について理解することを目指します。

自作の光熱変換顕微鏡(PTM)(左パネル):ミトコンドリア内の色素分子がポンプレーザーのエネルギーを吸収し、熱を発生すると、色素分子周辺の屈折率が変化する。この変化によって生じるプローブレーザーの偏向を光信号に変換することで、ミトコンドリアを可視化する。
出芽酵母の無標識光熱変換イメージング(右パネル):野生型(Wild-type)の酵母細胞をPTMで観察すると、無傷のミトコンドリアに加えて、マイトファジーで運ばれたミトコンドリアを含む液胞(リソソーム様オルガネラ)由来のシグナルが見える。後者のシグナルは、マイトファジーの必須因子Atg32を欠損した変異体(atg32∆)では検出されない。

メンバー

岡本 浩二 准教授 okamoto.koji.fbs[at]osaka-u.ac.jp
Tian Yuan(D3) yuantian[at]fbs.osaka-u.ac.jp
Duan Lan(D2) dll[at]fbs.osaka-u.ac.jp
久保田 満聖(D2) kubota98[at]fbs.osaka-u.ac.jp
中山 結稀(D1)  
近江 裕紀子(M2)  
結城  詩央里(M2)  
永野 沙也加(M1)   
今田 祐子 事務補佐員(秘書) imada-yuu[at]office.osaka-u.ac.jp

研究者の詳細を大阪大学研究者総覧Research Mapで検索できます。

  • ※メールアドレスの[at]は@に変換してください

Q&A

現在注目しているテーマは何ですか?
これまでの研究から、ミトコンドリアは、細胞内の他のオルガネラとは独立して形成・維持されていると考えられてきました。ところが最近の研究で、小胞体・ペルオキシソーム・リソソームなどの他のオルガネラと物理的・機能的に連携していることが明らかになりつつあります。選択的ミトコンドリア分解もまた、小胞体に局在するタンパク質からの制御を受けていることがわかっており、その分子機構を解析しています。
最新のブレイクスルー、研究成果について教えてください。
選択的ミトコンドリア分解は、リン脂質メチル化・タンパク質N末端アセチル化・リン脂質脱リン酸化・栄養/ストレスシグナリング・小胞体関連分解・小胞体膜タンパク質挿入などの多様なプロセスと密接にリンクしていることを明らかにしました。
どのようなバックグラウンドを持つメンバーで研究をすすめていますか?
分子生物学・生化学・遺伝学・細胞生物学の解析技術、細菌や酵母、哺乳類培養細胞などのモデルシステムを用いた研究の経験者で構成されています。
国内外の研究機関との連携について教えてください。
和歌山大学、名古屋市立大学、ジョンズホプキンス大学(アメリカ)、フローニンゲン大学(オランダ)の研究者と共同研究を行っています。
研究室から巣立った人たちはどのような道を歩まれていますか?
これまで旅立っていった12名の学生のうち、9名が企業、2名が海外ポスドク、1名がアメリカの大学院へ留学しています。
今後どんな展開が期待されますか?
選択的ミトコンドリア分解の基本原理が、分子レベルでさらに詳しく理解できるようになると予想されます。最近、酵母を用いて、選択的ミトコンドリア分解を無標識で検出する方法を確立しました。この方法を実験室で用いるモデル生物以外の多様な生物にも利用できるようにして、選択的ミトコンドリア分解の普遍性と多様性の解明を目指します。

研究成果

論文、総説、著書

2021年

Mitsutaka Kubota, Koji Okamoto

The protein N-terminal acetyltransferase A complex contributes to yeast mitophagy via promoting expression and phosphorylation of Atg32

J. Biochem. 170(2):175-182  2021 PMID:34115119 DOI:10.1093/jb/mvab068

Lan Duan, Koji Okamoto

Mitochondrial dynamics and degradation in the oleaginous yeast Lipomyces starkeyi

Genes Cells 26(8):627-635  2021 PMID:34085353 DOI:10.1111/gtc.12875

2020年

Calvellia H, Krigman J, Onishi M, Narendra DP, Sun N, Okamoto K.

Detection of mitophagy in mammalian cells, mice, and yeast.

Methods Cell Biol. 155: 557-579  2020 PMID:32183977 DOI:10.1016/bs.mcb.2019.10.006

2019年

Morita K, Matsuda F, Okamoto K, Ishii J, Kondo A, Shimizu H.

Repression of mitochondrial metabolism for cytosolic pyruvate-derived chemical production in Saccharomyces cerevisiae.

Microb. Cell. Fact. 0.872916667  2019 PMID:31615527 DOI:10.1186/s12934-019-1226-6

Zheng L, Shu WJ, Li YM, Mari M, Yan C, Wang D, Yin ZH, Jiang W, Zhou Y,_Okamoto K, Reggiori F, Klionsky DJ, Song Z, Du HN.

The Paf1 complex transcriptionally regulates the mitochondrial-anchored protein Atg32 leading to activation of_mitophagy.

Autophagy 1月14日  2019 PMID:31525119 DOI:10.1080/15548627.2019.1668228

Murakawa T, Okamoto K, Omiya S, Taneike M, Yamaguchi O, Otsu K

A Mammalian Mitophagy Receptor, Bcl2-L-13, Recruits the ULK1 Complex to Induce Mitophagy.

Cell Reports 26: 338-345.e6  2019 PMID:30625316 DOI:10.1016/j.celrep.2018.12.050

2018年

Yamada T, Murata D, Adachi Y, Itoh K, Kameoka S, Igarashi A, Kato T, Araki Y, Huganir RL, Dawson TM, Yanagawa T, Okamoto K, Iijima M, Sesaki H

Mitochondrial Stasis Reveals p62-Mediated Ubiquitination in Parkin-Independent Mitophagy and Mitigates Nonalcoholic Fatty Liver Disease

Cell Metab. 28: 588-604  2018 PMID:30017357 DOI:10.1016/j.cmet.2018.06.014

Liu Y, Okamoto K

The TORC1 signaling pathway regulates respiration-induced mitophagy in yeast

Biochem. Biophys. Res. Commun. 502: 76-83  2018 PMID:29787763 DOI:10.1016/j.bbrc.2018.05.123

Onishi M, Nagumo N, Iwashita S, Okamoto K

The ER membrane insertase Get1/2 is required for efficient mitophagy in yeast

Biochem. Biophys. Res. Commun. 503: 14-20  2018 PMID:29673596 DOI:10.1016/j.bbrc.2018.04.114

Xu X, Okamoto K

The Nem1-Spo7 protein phosphatase complex is required for efficient mitophagy in yeast

Biochem. Biophys. Res. Commun. 496: 51-57  2018 PMID:29305265 DOI:10.1016/j.bbrc.2017.12.163

2017年

Kameoka S, Adachi Y, Okamoto K, Iijima M, Sesaki H

Phosphatidic Acid and Cardiolipin Coordinate Mitochondrial Dynamics

Trends Cell Biol. 28: 67-76  2017 PMID:28911913 DOI:10.1016/j.tcb.2017.08.011

Nagumo S, Okamoto K

Investigation of yeast mitophagy with fluorescence microscopy and Western blotting

Methods in Molecular Biology 1759: 71-83  2017 PMID:28337707 DOI:10.1007/7651_2017_11

Eiyama A, Okamoto K

Assays for mitophagy in yeast

Methods in Molecular Biology 1567:337-347.   2017 PMID:28276028 DOI:10.1007/978-1-4939-6824-4_20

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〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-3
大阪大学大学院生命機能研究科 ナノバイオロジー棟8階 ミトコンドリア動態学研究室
TEL: 06-6879-7970
E-mail: kokamoto[at]fbs.osaka-u.ac.jp(岡本 浩二 准教授)

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