バクテリアべん毛モーターの回転機構の解明
バクテリアべん毛モーターは,こちら,でも書きましたように,生物界において珍しい回転機構を有する運動機関です. 入力エネルギーはイオンの流れであり,種により,水素,ナトリウムなどのイオンが通過して,トルクを発生します. 我々は,キメラモーターを用いて上記の問題点を克服し,初めてバクテリアべん毛モーターの回転素過程を明らかにすることができました (Sowa, et., al., 2005, Nature). 現在,さらなる分解能の向上を目指し,素過程の詳細,について研究を続けているところです. |
![]() バクテリアべん毛モーター ステップの拡大図(縦軸角度,横軸時間)
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バクテリア走化性システムにおける情報伝達機構の解明
バクテリアは下等生物ですが, ここで,問題となるのは, 実際に,細胞内CheY-P濃度の変化をイメージングすればいいのですが, 我々は, この結果は,原核細胞のみならず,真核細胞にも非常に重要な知見を与えるものです. 今後,さらなる計測手法の開発を行い,より詳細を明らかにする予定です. |
複数のべん毛モータの同時計測,下図において, 各モーターの回転方向転換の様子(上の赤が極に近いモーター,下の青が極から遠いモーター). モーター間の距離と時間遅れとの関係,モーター間の距離が遠くなるほど時間遅れが大きくなることがわかる |
アクトミオシンの動作機構の解明
アクトミオシンの研究は日本で古くから行われています.1991年にガラスニードルを使って,数分子のミオシン分子の発生する張力,変位を直接計測することに成功しました (Ishijima et., al., Nature, 1991).さらに,1分子のミオシン分子の発生する変位の測定にも成功しました (Ishijima et., al., BBRC, 1994, BJ, 1996). しかし,測定システムに存在する男性要素(ビーズとアクチンフィラメントの接着など)の影響を完全に取り除くことは難しく,骨格筋ミオシンの素過程を正確に見積もることが困難でした. そこで,新たに,特別な計測システムを用いなくてもアクトミオシン相互作用のキネティックスを明らかにできないか,ということで,運動再構成系を改変した系を作りました.それは, |
ガラスニードルによる計測システム.写真にはガラス棒に,細いガラスニードルが取り付けられているのがわかる.さらに,先端にニッケル粒子が取り付けられている(センサー上でのコントラストを高めるため). 数分子のミオシンによる発生張力.張力がゆらいでいるのがわかる.これは,関与するミオシン分子の数がゆらいでいるからである. 同時計測システムの概要 Touch and Go 実験の様子 |
褐色脂肪細胞の熱計測
CNTを用いた新しい計測システムの開発
ガラスニードルを用いた数分子のミオシンの発生する張力の計測
ガラスニードルを用いた1分子のミオシンの発生する張力の計測
アクトミオシン相互作用における化学反応と力学反応の同時計測
ナトリウム型バクテリアべん毛モーターのトルク-速度関係
キメラ菌体を用いた回転ステップの計測