平衡反応における平均,分散-04

さて,では,このゆらぎの大きさ,分散値,は速度定数の大きさに依存するのかを考えましょう.
この意味は,
 平均値が同じでも,現象が違う場合がある
と言うことが起こりえるからです.下の図をご覧ください.

上と下のトレースは速度定数の違いで,p,qをn倍すると,下のトレースになります.
平均値は,

と単に,p,qをそれぞれn倍するだけなら,平均値は変わりません.

分散値は,

となり,これまた変わらないことがわかります.

別の方法として,平衡定数,K≡q/p,を考えましょう.すると,

となります.

つまり,
 平均値,分散値は速度定数,p,qそのものの値に依存せず,その比,もしくは平衡定数に依存する
と言うことがわかります.

逆に言うと,平均値,分散値からは速度定数の絶対値はわからないのです.
これを調べるためには,周波数解析などが必要となります.

さて,では,二状態ではなく,三状態の場合はどのようになるでしょう?

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