アロステリックモデル再考-06 MWCモデル

平衡状態から

 

MWCモデルを考えてきましたが,この反応スキームには,T0とR0との平衡はあるものの,T1とR1との平衡は考えていませんでした.

しっかりと速度定数から考えていこうとしましたが,複雑になってしまったので,平衡,から考えていくことにしました.

ご助言いただいた,高田先生(京都大学),ありがとうございます.

 

4状態モデル

 

まずはT状態とR状態を遷移する4状態モデルを考えます.

赤文字がそれぞれの平衡,解離定数を表します.

\( \Large \frac{T_0}{R_0} = L\)

\( \Large \frac{T_1}{R_1} = L_X \)

\( \Large \frac{T_0}{T_1} = \frac{K_T}{S} \)

\( \Large \frac{R_0}{R_1} = \frac{K_R}{S} \)

また,\( \Large T_0 >> R_0 = L\)とします.

ここで示した,KT,KRは,以前に示したものと若干意味合いが異なりますね.

単に,二状態の平衡を考えた値となります.

 

ここで,

\( \Large 1 = \frac{T_0}{R_0} \frac{R_0}{R_1} \frac{R_1}{T_1}\frac{T_1}{R_0} = L \cdot K_R \cdot \frac{1}{L_X} \cdot \frac{1}{K_T} \)

となるので,

\( \Large L \cdot K_R = L_X \cdot K_T \)

となります.ここで,R状態のほうが基質との結合アフィニティが高いとすると,

\( \Large K_R < K_T \) となり,

\( \Large c \equiv \frac{K_R}{K_T} < 1 \) となります.

つまり,\( \Large \frac{L_X}{L} = \frac{K_R}{K_T} < 1 \) となり,T1とR1はR1寄りとなるのです.

 

基質飽和度

基質飽和度,Yは,

\( \Large \begin{eqnarray} Y &=& \frac{T_1 + R_1}{ T_0 +T_1 + R_0 + R_1 } \\
&=& \frac{ T_0 \frac{s}{k_T} + R_0 \frac{s}{k_R} }{T_0 + T_0 \frac{s}{k_T} + R_0 + R_0 \frac{s}{k_R} } \\
&=& \frac{ L R_0 \frac{s}{k_R /c} + R_0 \frac{s}{k_R} }{L R_0 + L R_0 \frac{s}{k_R /c} + R_0 + R_0 \frac{s}{k_R} } \\
&=& \frac{ Lc \frac{s}{k_R } + \frac{s}{k_R} }{L + L c \frac{s}{k_R } + 1 + \frac{s}{k_R} } \\
\end{eqnarray} \)

となります.

ここで,

\( \Large \alpha \equiv \frac{S}{K_R} \)

とすると,

\( \Large Y = \frac{ Lc \alpha + \alpha }{L + L c \alpha + 1 + \alpha} \)

となります.

次に,6状態を考えていきましょう.

 

 

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