未知の分野での5年半

馬場 美香

2015年 博士(理学)
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

学部時代に脳神経の研究に興味を持ったことから、関連の研究室が充実している生命機能研究科に入学しました。5年半所属したラボでは、ウェットな実験をメインに行いながらも、同時に工学的なシステム解析の手法を学ぶことができました。線形システムの理論や周波数解析などとはそれまで全く無縁で、生物のイメージからは程遠く感じましたが、実際に脳の低次視覚野で線形フィルター処理を行っている細胞のデータを目の当たりにして、学部時代には想像もしなかった世界を覗くことができました。指導してくれた大澤教授が持つ、誰にも負けない専門的な強みにはいつも感服していましたが、様々な強みを持った個性豊かな先生方がひとつに集まっているところがこの研究科の魅力ではないかと思います。また生命機能研究科では年に一度学生主催の合宿が夏に開催されますが、ここでは自分とは全く異なる研究分野の学生さんたちと交流することができ、非常にたくさんの刺激を受けました。更に、2013年にカリフォルニア州サンディエゴで開催された北米神経科学学会の大会に参加した際は、費用のほぼ全額の支援をいただくことができました。こういった多くの面での研究科からのサポートがあったことに、大変感謝しております。現在は、愛知県岡崎市にある生理学研究所で脳の高次視覚野について研究していますが、生命機能研究科で過ごした経験は研究生活のベースとなっています。これから研究科に入学される皆さんが、研究科での生活を楽しんで過ごされることを願っています。