挑戦の機会について

水山 遼

2017年度 D5
認知行動科学教室

私は現在、ストレスや覚醒水準などによる状況依存的なノルアドレナリン分泌が、視覚機能に及ぼす影響を研究しています。入学前は、兼ねてより興味のあった脳研究を行なえることへの期待感で一杯でした。

入学後も、自主性を重んじて頂ける所属研究室では、早くから国際誌への論文投稿に挑戦する機会が与えられました。また研究科では、海外学生も招待する国際的な若手合宿の企画が有志の学生に委ねられており、その運営に挑戦する機会にも与りました。こうして未知の経験を前に、期待は更に高まっていきました。

こうして書くと大変楽しそうですが、しかしいざその"未知"へ飛び込んでみると想像は裏切られる一方でした。思いもよらぬ問題に嵌ったり、想定内の問題にさえ自分が上手く対処出来なかったり。思い返せば充実感からくる楽しさと停滞感からくる苦しみは半々くらいだったように思います。

しかし、自己弁護するわけではありませんが、上手く行かなくて当然でした。未知に挑戦する以上、自分の中にある既知の方法だけでは対処出来ないのですから。だからこそ、上手く行かない苦しみが原動力となって、そこから脱却しようともがき、結果として今以上の力を発揮することが出来ました。そうして困難を克服したことで"未知"は既知となり、次はより多くの問題に対処できるようになる。これが成長というプロセスだと、何とか乗り越えた今では考えています。

ただ、もがくことが出来たのは、研究生活の内外で助言し合える仲間の存在が大きかったです。専門や出身が異なる友人達からは、種々の申請書やプレゼンの相互添削、研究の方向性やキャリアの相談を通じ、自分に無かった視点から解決の糸口を幾度も与えられてきました。

研究生活では様々な挑戦の機会が与えられます。そこには苦しみが必ずありますが、それが成長に必要な要素だからこそ、これから入学される皆様には、逃げずに、ときには研究生活で得た仲間の力を借りて立ち向かって頂ければと思います。