好きなだけ、好きな研究を

私はもともと大阪大学で生物工学を学んでおり、バイオテクノロジーをどのように工業に役立てられるか考えながら、日々を過ごしていました。そんな中、ふとしたきっかけで見つけた研究室のホームページで、細胞内の見えない現象を、光るタンパク質を利用して可視化できる事を知りました。同時に、細胞内の現象を可視化した動画が、非常にキラキラしていて、当時とても感動したのを覚えています。そこから興味は一気に、光るタンパク質を用いて、どのように生命現象を解明するか、に移りました。幸いなことに現在はその研究室で、光るタンパク質を用いて、動物の脳活動を可視化できるセンサーを開発しています。ツールを作る側として喜びは、実際に機能するツールが生まれた瞬間、またそのツールでしか計測できない現象を誰よりも早く研究できるという点です。

私は研究室ありきで、生命機能研究科に入学しましたが、入学してからとてもユニークで面白い研究科である事に気づきました。例えば当時、生物の基礎(教科書レベル)を学びたいと思って受講した"基礎生物学"の講義では、毎回替わる担当の先生が、(少なくとも私の目からは)自身の高度な専門研究を、招待講演形式で発表しているようなものでした。予想を裏切られた形になりましたが、講義自体はいつも面白く、とても勉強になったことは間違いありませんでした。この例から、生命機能研究科の教育システムは、在学生にとって押しつけがましいものではなく、"興味を持ったなら、自分で勉強する"といったスタイルであることが窺えます。これから入学される方には、このような自由な風潮で、利用できる最大限の機会を利用し、研究者として立派に成長してもらいたいと思います。