研究テーマ

細胞核ネットワークの理解と生命機能

研究代表者プロフィール

米田 悦啓

教授、大阪大学大学院生命機能研究科・細胞ネットワーク講座・細胞内分子移動学グループ、および、大阪大学大学院医学系研究科・生化学・分子生物学講座

1981年大阪大学医学部卒業。1985年大阪大学大学院博士課程修了、医学博士。1986年、大阪大学細胞生体工学センター助手、1991年、同助教授を経て、1993年大阪大学医学部教授。2002年より現職。主な研究内容は核―細胞質間分子輸送システムと高次生命現象との関係解明。

研究代表者
  • 米田 悦啓(教授、大阪大学大学院生命機能研究科・細胞ネットワーク講座・細胞内分子移動学グループ、および、大阪大学大学院医学系研究科・生化学・分子生物学講座)
研究分担者
  • 片平 じゅん(准教授、大阪大学大学院生命機能研究科・細胞ネットワーク講座・細胞内分子移動学グループ)
  • 藤原 武志(特任准教授、大阪大学大学院医学系研究科・生化学・分子生物学講座)
  • 関元 敏博(助教、大阪大学大学院医学系研究科・生化学・分子生物学講座)
  • 岡 正啓(助教、大阪大学大学院生命機能研究科・細胞ネットワーク講座・細胞内分子移動学グループ)
  • 安原 徳子(特任助教、大阪大学大学院医学系研究科・生化学・分子生物学講座)

研究概要

真核生物の細胞核は核膜により覆われ、細胞質から隔離されている。核膜には核膜孔が存在し、多くの分子の通り道になっている。比較的小さな分子は拡散によって自由に核膜孔を通過するが、より大きな分子はエネルギーを必要とする選択的な輸送によって核内外を往来する。このような選択的な核―細胞質間分子輸送にかかわる輸送受容体は数多く存在する。そして、様々な積荷分子を運びわけ、状況に応じた核―細胞質間の情報伝達を担っている。我々の研究室では、タンパク質やRNAの選択的な輸送のメカニズムを解明し、それぞれがストレス応答や細胞分化、細胞周期などにどのように関るのかという課題について研究を進めてきた。そして、核―細胞質間分子輸送システムが単に物を運ぶだけではなく、システム自体がダイナミックに変化することによって細胞内外の環境変化に反応し、細胞の活動を支えていることを明らかにした。例えば、細胞にストレスを与えると特定のタンパク質輸送受容体が核に集積する。これはストレス応答に必要な分子の輸送を促進するために、ストレス応答に無関係な分子の輸送をシャットダウンするためだと考えられる。また細胞分化の過程では、タンパク質輸送受容体の発現量が変化し、特定の転写因子の輸送を促進もしくは抑制する。この輸送受容体の発現変化が正常に起こらないと細胞は分化せず、逆に人為的に発現変化を誘導するだけで細胞は一定の方向に分化する。従って、核―細胞質間タンパク質輸送は細胞運命の決定に深く関っていると考えられる。さらに、分子の通り道になる核膜孔もまた、特定の輸送受容体と相互作用して通過を調節し、細胞分化や細胞周期の際にその形状や分布、および構成因子が変化することが知られてきた。 このような核―細胞質間分子輸送システムの機能は、ごく最近注目され始めたばかりで、未解明な部分が多く残されている。ウイルス感染やアポトーシス、細胞老化、組織形成などでも輸送システムが変化し、鍵となる役割を果たしている可能性がある。本プログラムでは、輸送システムが様々な場面でどのように変化し、どのように細胞機能を舵取りしていくのか解明し、細胞の活動を核―細胞質間情報伝達ネットワークの観点から紐解いていく。

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最近の代表的な論文

  1. Kamei, Y., Suzuki, M., Watanabe, K., Fujimori, K., Kawasaki, T., Deguchi, T., Yoneda, Y., Todo, T., Takagi, S., Funatsu, T. and Yuba, S.  Infrared laser-mediated gene induction in targeted single cells in vivo.  Nat Methods,  6(1): 79-81 (2009)
  2. Katahira J., Inoue H., Hurt E. and Yoneda Y.  Adaptor Aly and co-adaptor Thoc5 function in the Tap-p15-mediated nuclear export of HSP70 mRNA. EMBO J., 28(5): 556-567 (2009)
  3. Okada, C., Yamashita, E., Lee, S. J., Shibata, S., Katahira, J., Nakagawa, A., Yoneda, Y. and Tsukihara, T.  A high-resolution structure of the pre-microRNA nuclear export machinery.  Science,  326(5957): 1275-1279 (2009)
  4. Otsuka, S., Iwasaka, S., Yoneda, Y., Takeyasu, K. and Yoshimura, S. H.  Individual binding pockets of importin β for FG-nucleoporins have different binding properties and different sensitivities to RanGTP. Proc Natl Acad Sci USA, 105(42): 16101-16106 (2008)
  5. Yudin D., Hanz S., Yoo S., Iavnilovitch E., Willis D., Gradus T., Segal-Ruder Y., Ben-Yaakov K., Hieda M., Yoneda Y., Twiss J. L. and Fainzilber M.  Localized regulation of axonal RanGTPase controls retrograde injury signaling in peripheral nerve. Neuron, 59(2): 241-252 (2008)