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理研・山口芳樹チームリーダーらが異常糖タンパク質を捕まえるレクチンOS-9の立体構造を解明

2011.01.27

 理研システム糖鎖生物学研究グループ(谷口直之グループディレクター)・糖鎖構造生物学研究チームの山口芳樹チームリーダー、佐藤匡史研究員らのグループは、東京大学の山本一夫教授らのグループと共同で、小胞体レクチンOS-9の立体構造を初めて解明し、マンノース残基が切り取られた異常型の糖鎖を選択的に認識する仕組みを明らかにしました。本研究成果は、2010年12月22日発行のMolecular Cellに掲載されるとともに、12月23日付の日刊工業新聞などで報道されました。


Mol Cell論文概要
 細胞内で糖タンパク質がたどる運命は、タンパク質に結合している糖鎖と、それを認識するさまざまな細胞内レクチンとの相互作用によって決定されている。小胞体で高マンノース型糖鎖を付加されたタンパク質のうち、正常な立体構造を獲得した糖タンパク質は、ERGIC-53やVIP36などの輸送レクチンによりゴルジ体へ輸送される。一方、フォールディングに失敗した異常糖タンパク質は、EDEMと呼ばれるマンノシダーゼにより57糖のマンノースを含む糖鎖までトリミングされた後、MRH(マンノース6リン酸受容体相同)ドメインを持つレクチンOS-9により認識され、細胞質へ逆行輸送され、最終的に分解されるこれまでOS-9の立体構造に関する報告はなく、詳しい糖鎖認識の仕組みは不明だった。今回研究グループは、ヒトOS-9MRHドメインと異常型の糖鎖(マンノース5糖)との複合体の立体構造解析に挑んだ。
 構造解析の結果、OS-9MRHドメインは、扁平なβバレル構造を形成しており、マンノース6リン酸受容体とは異なるジスルフィド結合様式とβシート構造を持つユニークな立体構造をしていることが分かった。また、興味深いことに、MRHドメインの糖鎖結合部位は、マンノース6リン酸受容体と同様のアミノ酸残基に加え、特徴的な連続する2つのトリプトファン残基から構成されていた(図A)。研究グループは、この糖鎖結合部位を"WWモチーフ"と名付けた。結晶構造データと溶液中でのNMR解析およびWWモチーフの変異体を用いた結合実験などを合わせて、OS-9MRHドメインはWWモチーフを介して、高マンノース型糖鎖のα1,6結合からなるマンノース3糖、Man(B)Man(4')Man(3)部分と特異的に結合することを解明した(図B)。この研究により、マンノース残基がトリミングされた異常型の高マンノース型糖鎖を、OS-9が特異的に認識する仕組みが明らかになった。

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