研究プロジェクト
細胞は分子反応・分子運動の確率性に起因するゆらぎを内包したシステムです. 確率的にはたらく分子を要素として情報処理機能・運動機能などを有するシステムが 自律的に組織化され,変動する環境に対して巧みに適応できます.
本研究グループでは,細胞の情報処理機能や運動機能が分子間相互作用により生み出される仕組み (構築原理, design principle)と環境変化に巧みに適応する仕組み(演算原理,computation principle) に興味を持って研究を進めています。これまでの研究から,粘菌細胞の走性行動を担う情報処理システムや 運動システムには,分子のゆらぎを利用した柔軟なシステム構築のメカニズムや分子のゆらぎに翻弄されない 演算メカニズムが働いていることが明らかになってきました.
「ゆらぎ」に着目した1分子レベルからの精密実験と,その結果に基づく計算機・理論解析研究は, ゆらぐ世界に適応してきた生物情報処理システムの特徴を明らかにするとともに,工学的に実現してきた 人工機械の情報処理システムとは異なる情報処理原理の探求に途を拓く可能性があると考えています.
細胞内1分子イメージング解析法の開発
- 細胞内1分子顕微鏡の開発
- 拡散・キネティクス統計解析法の開発
- 1分子粒度シミュレーション法の開発
走化性シグナル伝達システムの1分子解析
- GPCR型走化性受容体
- 三量体G蛋白質
- PTEN
- PHドメイン含有蛋白質
- シグナル伝達系におけるノイズ伝搬理論
走化性シグナル伝達システム構成分子群の同定
走化性シグナル伝達システムのスペクトル解析法の開発
細胞内自己組織化による自発的極性形成
- イノシトールリン脂質代謝システム(PTEN-PI3K系)
- cGMP代謝系
- 反応拡散方程式による細胞内自己組織化の数理モデル化