2. Single Claudinの細胞解析

 ClaudinはTJ strand形成に必須の4回膜貫通蛋白質です。27種類のclaudinの多様性は細胞間バリアー機能の多様性にどう関与しているのでしょうか。

<培養細胞レベルでの解析>
 上皮細胞は、一般的に、複数のclaudinによってTJを形成しています。TJバリアー特性の決定には、クローディンの細胞種特異的な組み合わせと発現量が重要な働きを担っていると考えられています。こうしたTJの性質は、個々のClaudinの性質を単純にたし合わせたものでしょうか。それとも、もっと複雑なアルゴリズムに従うのでしょうか。現在のところ、個々のClaudinの発現調節によりTJバリアーの特性に変化を及ぼす(例えばイオンを通しやすいClaudin-2の発現が多い細胞のTJもイオンを通し易い傾向がある)ことはいろいろと調べられていますが、一種類のClaudinの特性を明確に定義することは難しいのが現状です。個々のClaudinの性質の理解が難しいのは、通常の上皮細胞が、もともと複数のClaudinを発現しているためです。
 私たちは、そうした現状を打破するために、Claudinの発現ができるだけ少ない上皮細胞を探してきました。SF7は、精巣のセルトリ細胞由来の上皮様細胞です。SF7細胞では、フリーズフラクチャーを用いたTJストランド観察法でTJストランドが形成されないことを見いだしました。さらにほとんどのクローディン(claudin-12を除く; 単独ではストランドが形成されない)が発現していないことを転写レベルで確認しました。
 このSF7細胞に、さまざまなClaudinを1種類ずつ遺伝子導入して強制発現させ、それぞれのClaudinの性質を形態学的や分子の挙動を見るためのFRAP法を用いて検討しました。

Single Claudinの細胞解析
図1
クローディンはそれぞれが固有の性質を持つ(SF7細胞を用いた単一 クローディン解析)


クローディンストランドの形態は、それぞれのクローディンごとに異なるパターンを示す(上図)。

単一クローディンについてのFRAP解析では、細胞間接着部位において、それぞれ固有のダイナミクスを示した(下図; 動画1参照)。


  Claudinは、それぞれが固有のストランド形成能を持っているようです。例えば、Claudin-19は、互いに平行なstrandsをつくり交わることはありませんが、Claudin-7,-14はstrandsが途中で混じり合います。一方、Claudin-10のように、strandsをつくらないClaudinもありました。また、FRAP法でそれぞれのClaudinの動態を見てみると、Claudin-7のように細胞間領域の分子動態の遅いものから、Claudin-10のように速いClaudinが分類され、Claudin種ごとに固有であることがわかりました。このように、性質の違うClaudinが、細胞や臓器特異的に発現して、最適な環境をつくっているようです。
 今後、機能解析を含めたClaudinそれぞれの特性解析を目指していきます。



「動画1 細胞間領域の分子動態はクローディン種ごとに異なる(SF7細胞を用いた単一クローディンのFRAP動態解析)」

いろいろなsingle claudin の動態についてのFRAP解析。レーザーで消光したあとの回復が早いほど、クローディンのダイナミクスが 大きいといえる。


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