1. Odf2蛋白質の解析

気管や卵管の表面は、上皮細胞で覆われ、一面に繊毛が生えている。たくさんの繊毛は協調して同一の動き方をし、 ベケツリレーのように粘液を運ぶ。気管では、細菌やウイルスなどの異物を運び出す。こうした繊毛の根元を顕微鏡で立体的に観察すると、 繊毛と繊毛の間に細長い細胞骨格繊維が網目状に走っていることが観察されます。この網目は、繊毛の根元の突起につながっています。 私たちが肝臓毛細胆管画分から単離解析してきたOdf2 という蛋白質が、この根元の突起に存在します。Odf2蛋白質の1部を欠いて発現させた マウスを作製して調べてみると、繊毛の根元には突起が形成されず、網目状の繊維も構築されませんでした。さらに、繊毛の動きは協調せず、 完全にばらばらになっていました。異物が排出できず、マウスは咳やくしゃみを繰り返しました。現在、より詳細な分子機序について、 培養細胞とマウス両面からの解析を進めています。

Odf2+/+ Odf2-/-
図1
Odf2変異マウスでは、繊毛の向きが乱れ、気管内の痰がうまく排出されないために、くしゃみや咳をするようになる。電子顕微鏡で観察すると、繊毛の土台である基底小体のベーサルフットが消失しており、微小管のネットワークも乱れていた。

Odf2+/+ Odf2-/-
図2
超高圧電顕トモグラフィー法を用いて基底小体を観察すると、Odf2変異マウスではベーサルフットが消失していることが分かった。

2. ERM蛋白質の解析

ERM蛋白質は微絨毛の構築に重要で、トランスポーターやその調節因子を集める働きもしており、種々の病態に関わることを明らかにしてきましたが、細胞内のシグナルとの関係はどうなっているのでしょうか?現在、個体レベルを中心とした解析を進めています。

(左図) ERM蛋白質のノックアウトマウスは難聴 (Radixin) (右図)、胃酸分泌障害 (Ezrin)、Dubin-Johnson症候群 (Radixin)
図3
ERM蛋白質はRhoの下流で制御されている事を報告してきた。(左図) ERM蛋白質のノックアウトマウスは難聴 (Radixin) (右図)、胃酸分泌障害 (Ezrin)、Dubin-Johnson症候群 (Radixin) などの症状が確認された。


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