大阪大学大学院 医学系研究科 病理学 幹細胞病理学/大阪大学大学院 生命機能研究科 時空生物学 病因解析学
Department of Pathology, Medical School and Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University

なかのとおるのつぶやき

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四姑娘山お花畑の旅

中国は四川省の奥地、チベット近くの四姑娘山(「すぅくぅにゃんさん」と読む)にいってきた。ホテルのアメニティーなどは比ぶべくもないが、山容や氷河などの景色はたしかにスイスとよく似ているので、このあたりは、『中国のスイス』という、なんとも微妙なネーミングで呼ばれているらしい。

飛行機のトラブルでまる一日近くかかってしまったが、普通に行けば四川省の首都・成都まで約半日、そこから車でおよそ8時間かけて四姑娘山の麓に到着である。ドライブの後半は山道、それも半端な山道ではなく、4千メートルの峠を越える山道。あいにくの豪雨で、崖から崩れ落ちた岩がごろごろと転がっていたり、ぺちゃんこになった乗用車が乗り捨てられていたりと、なかなかスリリングであった。

登山基地の町、日驕iリーロン)の周りは、段々畑が4千メートル近くまで切り開かれていて、ジャガイモ畑と菜の花畑のパッチワークが美しい。たべものにはなかなか厳しいものがあったが、地産地消のジャガイモとアブラナだけはえらく美味しかった。住民の多くはチベット系で、石積みの家に住んでいるが、ほとんどが4年前の四川大地震で崩れてしまったそうで、どれも新しいのが整然と悲しい。

四姑娘山へ行こうと決めた理由は、山よりも花。お花畑といえば四姑娘山が世界一というのが、海外登山ツアーでの食事時における会話のコンセンサスになっているのである。こういう情報は、おおよそ正しい。が、今回はかならずしも正しくなかった。質・量ともに、噂をはるかにうわまわる素晴らしさであった。ところどころ、綺麗な花にごめんなさいしながら踏まないと歩けないというすごさなのであった。

百花繚乱、花の名前などほとんど知らないのであるが、ものすごい種類の花が咲き誇っていた。いちばん人気はヒマラヤの青いケシ。ほかにも、赤や黄色のケシや、エーデルワイス、アツモリソウ、トラノオ、シャクナゲソウ、ユリ、サクラソウ、などなどなどなど。登山道の入り口に「大熊猫生息地」のどでかい看板があったので、おぉ、ひょっとして、と思いはしたけど、当然、出てきませんでした。

これだけの高山植物が見られる理由の一つは、成都から車で8時間もかかるので人があまりいないから、ということだろう。いま、トンネルが整備されつつあって、完成すると成都から3時間程度で行けるようになるという。がんばったら日本からでもその日のうちに行けてしまうし、現地、中国からの観光客も激増するだろう。そうなった時、あのお花畑はいったいどうなっていくのだろう。

「死ぬまでに行きたいところリスト」を作ってみたら、40ヶ所を超えてしまった。定年を待っていたら、とても行きこなせそうにない。歳をとったら行きにくいところもある。それだけではない、四姑娘山のお花畑や、去年たずねたブータンの良さが永遠に続く保証はどこにもない。ということで、しっかり年休をとって、がんばってあちこち行かんとあかんなぁ、というのが、今年の夏休みの結論なのである。

2011年9月

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