我々の体の内部にはたくさんの分子,生体分子,が存在しています.
それらが,我々を営む上での必要な機能,運動,情報伝達,免疫,などなどすべての機能を担っています.
これらの機能を担う生体分子,その中でも,タンパク質,が重要な役割を果たしています.
この,タンパク質,たかだか20個のアミノ酸の組み合わせでできています.
そんな単純なタンパク質がこのように様々な役割を担っています.
アクチン分子(1J6Z.pdb) ミオシン分子(2MYS.pdb)
さて,先人たちのおかげで我々は様々な生命現象の知識を得ることができました.
たくさんの教科書もあります.
たとえば...筋収縮においては,
脳,脊髄からシグナルが発せられる
筋小胞体からカルシウムが放出される
カルシウムが細いフィラメント上のトロポニン
に結合する
細いフィラメントの構造が変化し,太いフィラメントのミオシン頭部と相互作用可能になる
ミオシンは溶液中のATPを利用して,アクチンと相互作用できるようになる
細いフィラメントと太いフィラメントは互いに滑り込み,全体の長さが短くなる
といった具合の記述が様々な教科書に記載されています.
DNAの複製,免疫,単純な化学反応,などなど.
しかし....本を読んだり,授業を受けたりして,何となくわかったつもりにはなっているのですが,これだけで十分なのでしょうか?
大事な現象が上の説明では抜けています,それは...
定量性
という点です.言い換えると,
どのくらいエネルギーを使っているの?
勝手に起こる現象なの?(氷が水に変わるように)
といえばいいでしょうか?
生物の教科書はほとんどが,定性的,に記述しています,まるで百科事典のように.
学会の発表においても,このような定性的な発表がよく見受けられます.
もっと,生命現象を,定量的に,考えていきたい,というのが私の現在の思いです.