ケーラー照明 その1

では,次にケーラー照明について説明しましょう.
ケーラー照明は,ドイツのケーラーという人によって考案された照明方法です.
試料に照射する光の量,範囲を非常に賢い方法で調節でき,さらに照明ムラもない,という本当に賢い方法です.
現在の顕微鏡はほとんど自動的にこの照明系となり,我々の調整する余裕は軸調整ぐらいなものです.
ですので,この原理をきちんと理解している人はあまりいないのが現状です.
顕微鏡には,先人の英知がぎゅっ!と詰まっているのに......もったいない.

さて,ケーラー照明の説明の前に,まず,
共役点
について説明しましょう.

下の光学系をまずみてください.

これは何度も出てきた顕微鏡の光学系ですね.
ここで,三つの赤い矢印に注目してください.
左と右は物体と結像像ですね.
しかし,中央にも鉛筆の絵が描いてあります.
ここにスクリーンをおいても,もちろん結像させることは可能です.
これら三つの矢印の部分は,拡大率は違いますが,同じ像を得られる場所です.
このような光学的な位置のことを,
 共役点
と呼ぶのです.

このことが次に説明するケーラー照明にとって非常に重要な役割を果たします.
このことを利用して,レーザートラップをサンプル上でスキャンさせることも可能となります.

さて,このことをふまえて,次ページからケーラー照明について説明しましょう.

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