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氏 名
Email
TEL
研究・教育業績
教授 井上 康志 06-6879-4243
准教授 バルマ
プラバット
06-6879-7847
GCOE特任研究員 田中 慎一 06-6879-4617

FAX 06-6879-7330
研究室郵便宛先 〒565-0871 吹田市山田丘2-1 大阪大学大学院生命機能研究科


ナノ・バイオフォトニクスの研究

私たちは、ナノテクノロジーとバイオロジー、さらにフォトニクスを融合したナノ・バイオフォトニクスと呼ぶべき分野の研究を行っています。走査プローブ技術に代表されるナノテクノロジー、種々の分光法や局在表面プラズモンなどのフォトニクスを駆使し、生体分子やDNAを超高感度かつナノ空間分解能でセンシングするテクノロジーとそのバイオロジー研究への展開を図っています。これまでの成果としては、近接場光学顕微鏡法によるナノ・イメージングシステムの提案・開発とその生体分子イメージングへの応用、高速走査ラマン散乱顕微鏡の開発、表面増強ラマン散乱(SERS)による細胞内の分子ダイナミクスの観察、等があります。ナノテクノロジーとフォトニクスの融合技術はこれまでに生体系へほとんど適用されておらず、今後、生命機能研究に大きく貢献することが期待されます。私たちは未踏の広大な研究領域の広がりを感じています。


1 生体分子の近接場光学イメージング

生体を構成する分子やタンパク質、細胞内小器官などは、全て数十ナノメートル以下のスケールを持ちます。通常の光学顕微鏡では、この大きさを空間的に分解して観察することができません。光は回折するので、顕微鏡レンズで光を集光しても光が広がってしまい、像がぼけてしまうからです。これを回折限界と呼びます。私たちは、回折限界を超えて、ナノスケールの分解能で光学イメージングを実現する技術を、提案・開発してきました[1]。私たちの技術の最大の特徴は、ナノメートルサイズの先鋭な先端を有する金属の針を用いることです。針の先端に光を当てると、金属内部の電子が揺すられ(局在表面プラズモン)、先端周辺のナノメートルサイズの空間領域に強い光の場が形成されます。この光の大きさは針の先端径程度、すなわちナノメートルサイズです。この光を照明光として光学イメージングを行えば、ナノメートルの空間分解能でのイメージングが実現できます。この技術は、近接場光学顕微鏡法と呼ばれます。図1 (a)は、金属の針を用いて観察した量子ドットの蛍光像で、40ナノメートル程度の分解能で量子ドットを観察できています[2]。さらに、図1(b)は、 ラマン散乱イメージングに応用した例で、DNAのナノネットワーク構造が15ナノメートル程度の分解能で可視化されています[3]。ラマン散乱スペクトルは、分子振動に依存するため、分子の構造や組成を直接観察できます。近接場光学顕微鏡は、超高分解能で光学イメージングを実現する唯一の技術であり、生命機能研究における応用範囲は計り知れません。
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図1.近接場光学顕微鏡による高分解能イメージング。(a) 量子ドット(CdSeナノ粒子)の蛍光像。(b) DNAナノネットワーク構造のラマン像.

[1] Y. Inouye, et al., Opt. Lett. 19, 159 (1994).; N. Hayazawa, et al., Opt. Commun. 183, 333 (2000).; T. Yano, et al., Appl. Phys. Lett. 88, 093125 (2006). など
[2] P. Verma, et al., submitted.
[3] T. Ichimura, et al., Phys. Rev. Lett. 92, 220801 (2004).


2 金属探針と分子の相互作用を利用した超高分解光学イメージングシステムの開発

私たちはこれまでに、金属探針を用いた近接場光学顕微鏡により観察されるラマン散乱スペクトルが、通常の(探針無しで観察される)ラマン散乱と異なるラマン散乱スペクトルを示すことを、世界で初めて報告しました[4]。このスペクトル変化には、探針先端の金属原子の存在による分子軌道の変化(化学的相互作用)と、探針から分子に対して印加される圧力による分子構造の歪み(力学的相互作用)の両方が介在して生じます。図2は、DNA塩基の一つ、アデニン分子の金属探針増強ラマンスペクトルと通常のラマンスペクトルです。723 cm-1のラマンピーク(リングブリージングモードと呼ばれる振動モードによるピーク)が高振動数側にシフトしています。この現象は、探針先端の金属原子と直接接触する分子のみで起こる現象なので、シフトしたピークのみを検出してやれば、原子間力顕微鏡の空間分解能でのラマンイメージングが可能となります。私たちは、このような機構を用いた新しいラマンイメージング装置の開発に取り組んでいます。
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図2 金属探針と分子の相互作用によるラマンスペクトル変化。(a) 化学的相互作用および力学的相互作用が生じる様子の模式図。(b) 測定されたスペクトル。723cm-1のピークが、金属探針により振動数が高振動数側にシフトしている。

[4] H. Watanabe, et al., Phys. Rev. B 69, 155418 (2004).; T. Yano, et al., Nano Lett. 6, 6, 1269 (2006).など


3 生体ダイナミクスの観察・分析を目的としたラマン顕微鏡の開発

分子固有の振動に依存したラマン散乱スペクトルを測定することで、生体分子の構造や状態、及びその環境を非標識で観察できます。しかし、ラマン散乱の散乱効率は蛍光に比べて極めて低く、測定には長い観察時間を要します。私たちは、スリット走査を用いることで撮像速度を向上させ、ラマン散乱を用いた生体ダイナミクスの観察に成功しました[5]。図3に、ヒト子宮頸ガン細胞の細胞分裂のラマン像を示しています。約3分で一画像を取得できました。これは、一点に集光した光を二次元走査する手法に比べ、約300倍の撮像速度を実現しています。図3では、チトクロムC(751cm-1)、タンパク質(アミド-Iのβシート)(1680cm-1)、脂質(CH2結合)(2852cm-1)の各振動分布についてRGBの各チャンネルに割り当てて再構成することで、細胞質分裂中の細胞内の各分子種の分布をとらえています。
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図3.ヒト子宮頸ガン細胞の細胞質分裂のラマン像。

[5] K. Hamada et. al., J. Biomed. Opt. in press.


4 金属ナノ粒子を用いた生細胞の表面増強ラマンイメージング

金属ナノ粒子による表面増強ラマン散乱(Surface enhanced Raman scattering: SERS)を利用した、高感度かつ高空間分解可能なラマン分光イメージング技術を開発しました。SERSでは、金属ナノ粒子表面の局在表面プラズモンによる電場増強を利用します。これまで、金ナノ粒子を導入したマクロファージ細胞及びHeLa細胞についてラマン観察を行いました。その結果、細胞内の金ナノ粒子近傍において、強度の大きなラマン散乱光の検出に成功し、金ナノ粒子近傍の分子のみを高い空間分解能で観察できました。これはエンドサイトーシスの各プロセスに関わる生体分子の動態や化学反応を追跡できる可能性を示唆しています。

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