Home
English Site Map
研究科長挨拶 研究科概要 研究室案内 催し/リソース 入試関連 アクセスマップ 掲示板 研究科内専用 リンク集
Home > 研究室案内
脳神経工学講座 神経可塑性生理学研究室(小倉研究室)
ナノ生体科学講座
ソフトバイオシステムグループ
プロトニックナノマシングループ
細胞内情報伝達研究グル−プ

細胞ネットワーク講座
代謝調節学研究室
細胞内分子移動学グループ
形態形成研究グループ
 

時空生物学講座
遺伝学研究室
病因解析学研究室
心生物学グループ
細胞構造研究グループ

個体機能学講座
免疫発生学研究室
発生遺伝学グループ
細胞機能学グループ
病態医科学研究室

脳神経工学講座
視覚神経科学研究室
脳システム構築学研究室
認知脳科学研究室
細胞分子神経生物学研究室
神経可塑性生理学研究室

生体ダイナミクス講座
生理学研究室
非平衡物理学研究室
機能プロテオミクス研究室
ナノ・バイオフォトニクスグループ

生命理工学講座(協力講座)
分子遺伝研究分野
細胞間コミュニケーション研究室
情報伝達分野
蛋白質情報科学研究系
生体触媒科学研究室
プロテオーム物質創製研究系
超分子構造解析学研究系

寄附講座
免疫制御学(中外製薬)
ナノデバイス基礎(オムロン)

兼任・客員教官
兼任教官リスト
客員教官リスト

 
氏 名
Email
TEL
研究・教育業績
教授 小倉 明彦 06-6850-5426
准教授 冨永(吉野)恵子 06-6850-5428
特任助教 篠田 陽 06-6850-5428

FAX 06-6850-5441
研究室郵便宛先 〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-1 大阪大学理学部内
小倉研HP http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/ogura/index.html



 脳の機能の典型的なものの一つが記憶です。記憶は20年前なら 心理学の研究対象でしたが、現在は生物学的なアプローチが可能です。脳の機 能は、多数の神経細胞が作るネットワークの中で情報が処理されて実現するわけです が、そのネットワーク内での情報の伝達の効率や経路は遺伝子ですべて決まっているのではなく、経験によって変化することが 明らかになってきたからです。神経細胞間の情報伝達は、シナプスという継ぎ目部分 で、前の細胞が化学物質(神経伝達物質)を分泌し、後ろの細胞がそれを受けること で行われます。その伝達のようすは一定不変ではなく、使われれば使われるほど効率 が増したり、枝分かれして数自体が増えたりするのです。逆に使われなければ効率が 落ち、消失してしまうこともあります。これをシナプスの可塑性と呼びます。今のと ころ、個々の具体的な記憶が「脳のどこにあるどのシナプスが変わるために起こる」とま で特定することはできませんが、原理上のことならかなりわかってきて います。
  記憶には、あっというまに作られるがすぐに消えてしまう短期記憶と、ずー っと長く保持される長期記憶の2種類があることは、日常の体験で知っていることで すが、これらが生物学的には前者が蛋白質の新合成を必要としない既存のシナプスで の変化、後者が蛋白質の合成を必要とするシナプスの新規形成に対応するということ が確からしくなってきています。短期記憶のしくみは、アメフラシという軟体動物( 海岸に住む大きなナメクジ)の神経節やネズミの海馬(大脳の一部)の薄切り切片を 材料にした研究で、分子のレベルまで明らかになっています。2000年度のノーベル医学賞は、そのアメフラシの記憶研究に対して授与されました。小倉も、海馬での研究 に参加して、ささやかながら機構解明に貢献してきました。しかし、長期記憶のしく みは、まだほどんど未開拓です。私たちは今その未開拓分野に挑戦しています。
 この分野が未開拓なのは、短期記憶のアメフラシ神経節や海馬切片にあたるような 、よい実験材料がまだないためが最大の理由です。世界中の研究者が協力して解析を 進められるようなよい実験系ができれば、短期記憶と同じように一気に解析がすすむ でしょう。私たちは以下に紹介する培養細胞の系が、その望まれている実験系になる と考え、その確立と機構の先行的解明に取り組んでいます。

図1 培養細胞のSEM

図2 培養切片の光顕


1 活動依存的なシナプス新生

ラット新生仔大脳から調製した海馬の切片は、十分な酸素と栄養を供給すれば、1 カ月以上生かし続けることができます。切片培養といいます。これを使えば、日から 週におよぶ長期の現象が追えるはずです。また脳の中にあるのと違って、途中の過程 を刻々観察することができます。薬品の投与もできますし、遺伝子発現の操作も可能 です。私たちは最近、この培養切片を刺激すると、新しいシナプスが作られ て(=分枝・発芽して)回路が増強されることを見つけました。1回だけでは短期可 塑性(既存シナプスの強化)にしかなりません。1週間以上持続する長期にするためには 、間隔をあけて3回以上繰り返すことが必要でした。今私たちは、1回目と3回目で何 が違うのか、間隔の間に細胞内でどんな反応が起きているのかをつきとめようとしています。
 
図3 培養切片中の神経突起先端         図4 刺激後拡大・ 分枝中 のシナプス


2 不活動依存的なシナプス廃止

ラット新生仔小脳から分離した顆粒細胞という神経細胞は、そのままでは培養できず、外から興奮剤(カリウムとかグルタミン酸とか)を与えてはじめて培養できます 。その機構には、「興奮によって細胞内細胞内カルシウム(Ca)濃度が高く維持されていることが生存に必 要」とする仮説が行われていましたが、私たちが実測するとそんなことはありません でした。Caが多く流入する分Ca汲み出しも多く、トータルは同じなのです。では何が 違うかというと、膜直下の局所的なCa代謝とエキソ・エンドサイトーシス活動でした 。おそらく神経栄養因子のような分子の放出と取り込みが盛んに行われているのだろ うと考えられます。この新仮説はまだ世界的に認知されていませんが、新証拠を連発 して認知させるべく努力しています。ここまでは細胞全体の生死の話ですが、私たち は個々のシナプスのレベルでも同じことが起きていると考えています。自発的に活動 している神経細胞に薬を与えて活動を止めると、必ずまずシナプスが減り、ついで細 胞突起が減り、最後に細胞死が起きるという順番で「病状」が進行するからです。
3 グリア細胞の機能

脳は神経細胞だけからできているのではなく、それ以上の数のグリア細胞があります。かつては、グリア細胞には、機械的支持や細胞周囲の環境維持といった下請け的 な役割しか考えられていませんでしたが、最近、神経細胞に発芽を起こしたり生存を 許可したりする信号分子(神経栄養因子と総称します)を合成・放出し、下請けどころではない重要な役割をもっていることが わかってきました。また、グリア細胞どうしの間で盛んに情報交換をしていることもわかってきました。これまであまり研究対象にならなかったグリア細胞に、新たなスポ ットライトを当てようと思います。


研究室のポリシー

小倉研では新しい現象を発見することが第一目標です。科学 はみんなそうだろうと思うかもしれませんが、少し違います。100年前の幸福な時代 はいざ知らず、現在は研究者間の分業が進み、現象を発見する人と機構を解明する人 とは必ずしも一致しません。上に紹介した短期記憶のすぐれた実験系である海馬短期 記憶を例にとると、最初に英国のBlissとLomoが「海馬を高頻度で刺激すると伝達効 率が変わる」と現象を発表しました(1973)。その段階では機構はわかりません。そ れに答えを与えたのは、「ある種の伝達物質受容体は通常不活性だが、高頻度刺激を 受けると活性型に変化する」ことを示したMayerとWestbrook(1984)です(多段階の反応ですから彼らだけの功績とはいえませんが)。また「この伝達効率変化にはCaが必要だ」という現象を発見したのはLynch(1983)で、「それは活性化され た受容体を通って入ったCaがリン酸化酵素を活性化するからだ」という機構 を解明したのはMalinowとMalenka(1989)です。さて、私たちは今現象論者の立場を とります。長期記憶の研究は未開拓で、まだ模索段階にあるからです。「これを こう刺激するとこんな風になるよ」という現象の観察・記述自体がまだまだ不足だか らです。どれが機構解明に向けて突進すべき現象か、わからない段階なのです。というわけで、小倉研のポリシーは「犬も歩けば棒に当たる」です。犬が棒に当たるか当たらないかは、犬の歩いた距離に依存します(運にもよるでしょうが)。私たち犬 は、自分の目と鼻と手と足を惜しまず使い、自分の現象を見つけてくることが求められます。実のところ、それを「生理学」と呼ぶのであって、何も特別なことをいっているのではありませんが。わん。

Page Top
All rights reserved. Copyright © 2003 Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University