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微小管モーターKinesinと微小管の構成要素Tubulin
〜構造変化の類似性と異なる機能への適応〜
仁田亮 (東京大学)

日時

2012年6月20日(水)14:00~15:30

場所

OLABB1階 ラウンジ

演者

仁田亮(東京大学)

演題

微小管モーターKinesinと微小管の構成要素Tubulin

要旨

キネシンスーパーファミリー蛋白質(KIFs)は、ATPの加水分解エネルギーを利用して能動的に微小管上を移動する分子モーターで、細胞内物質輸送や細胞分裂に重要な役割を果たしている。一方、Kinesinのレールとして機能する微小管も、その構成要素であるTubulinによるGTPの加水分解エネルギーを利用して能動的に重合・脱重合サイクルを繰り返すダイナミックポリマーである。微小管は、Kinesinをはじめとするモーター分子のレールとして機能するのみならず、細胞骨格として細胞形態の維持・変形、細胞分裂では染色体の移動に主要な役割を果たす。我々はまず、Kinesinの動作機構を解明する為、X線結晶解析及びクライオ電子顕微鏡解析を組み合わせたハイブリッド法を用いて、モノマー型Kinesin KIF1Aの原子レベルの立体構造解析を行い、その動作機構を原子レベルで明らかにすることに成功した(文献1、3、4)。また、KIF1Aとは非常に類似した骨格を持ちながら、微小管の脱重合活性を持つ解体屋Kinesin KIF2Cについても、X線結晶解析法にて立体構造解析を行い、微小管脱重合の分子機構を明らかにした(文献2)。さらに最近、GTP型微小管の構造をcryo電子顕微鏡を用いて明らかにし、GTPの加水分解による構造変化を捉える事に成功した(文献5)。KinesinもTubulinもヌクレオチド結合ドメインは、βシートの層がαヘリックスの層でサンドイッチされたRossmann foldを基本骨格とするが、これまでの我々の構造解析にて、どちらも非常に似たストラテジーを用いて構造変化を誘導し、それぞれの持つ役割を果てしている事がわかってきた。本講演では、KinesinやTubulinがこの類似した構造変化のストラテジーを利用して、どのようにそれぞれの特化した機能に応用しているのか、構造生物学的な側面から概説する。

参考文献

  1. Nitta, R. et al. Science, Vol. 305, pp. 678-683, 2004.
  2. Ogawa, T., Nitta, R. et al. Cell, Vol. 116, pp. 591-602, 2004.
  3. Nitta, R., Okada, Y. Hirokawa, N. Nature Struct. Mol. Biol., Vol.15, pp. 1067-1075, 2008.
  4. Hirokawa, N., Nitta R., Okada, Y. Nature Rev. Mol. Cell Biol., Vol.10, pp. 877-884, 2009.
  5. Yajima, H., Nitta, R. et al. JCB, 2012 in press.

世話人

岡田康志