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「Spatial-Temporal-Spatial transformation in visual map plasticity : 自然環境からの情報が神経回路の配線を校正するメカニズム」平本正輝(スクリプス研究所)

日時

2014年12月5日(金)16:00~17:30

場所

ナノバイオロジー棟3階 セミナー室

演者

平本正輝(スクリプス研究所)

演題

Spatial-Temporal-Spatial transformation in visual map plasticity: 自然環境からの情報が神経回路の配線を校正するメカニズム

要旨

脳は感覚入力を自然界の特徴に沿った形で解釈する。神経回路は現在の情報を読み取るだけでなく、その情報を元に回路をチューニングし、将来の入力をより正しく解釈する様に変化する。この特性は脳の発達や損傷からの回復の過程で働くだけでなく、人工網膜などの人工感覚器から入力を元に、外界を正しく認識できる様になるためにも重要になると予想される。しかし具体的にどの神経活動パターンがどの様に回路の配線を指示しているかは良く分かっておらず、そのためどの様な感覚刺激が機能回復に有効であるか推測するのも難しい。

自然界では「物体はテレポーテーションしない」あるいは「光は上から注がれる」などの法則があり、そこから得られる感覚入力はこれらのルールに従っている。この様な自然界の特徴と神経細胞自体の性質により、自然環境からの刺激は神経細胞に特徴的な活動パターンを誘導する。この活動パターンはNeural Codeと呼ばれ、脳内での情報表現・処理だけでなく、機能回復にも関わると考えられる。Neural Codeは情報処理過程に注目して調べられてきたが、その解析は刺激と誘導される神経活動パターンとの相関関係に基づくものが主であり、各活動パターンが実際に機能を持ったコードなのかはあまり分かっていない。

感覚神経の脳内での投射位置は、その神経が伝達する情報を反映している。さらにその投射位置は過去の入力に応じて変化する事が知られている。そこで、視神経の活動パターンを操作し、視覚マップにおける投射位置をリードアウトとして用い、情報伝達機能を持つ活動パターンの同定を試みた。実験系には、優れた再生能力を持ち、モデルシステムの中で最も高い可塑性を持つと言われるXenopus幼生の視覚マップを用いた。視覚マップを外界に合った形にチューニングするには、それぞれの視神経がどこの空間を見ているかに関する情報を神経活動から得る必要がある。今回、その空間情報が視神経が発火する順番から抽出されている事が分かった。この事は学習的な視覚マップ形成において、空間の順序は時間の順序で表現されている事を示している。同時に、視神経の投射先は、各々の視神経が発火する順番を操作する事で制御できる事も分かった。

世話人

山本亘彦