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「匂いによる恐怖に関わる神経回路」近藤邦生(Fred Hutchinson Cancer Research Center)

講演者:近藤邦生先生
    Fred Hutchinson Cancer Research Center

タイトル:匂いによる恐怖に関わる神経回路

日時:2014年9月18日(木) 16:00-17:30
場所:大阪大学 吹田キャンパス ナノバイオロジー棟 3階セミナー室

要旨:
マウスなど多くの動物は肉食獣などの捕食者の匂いに対して本能的に恐怖反応を示す。 なぜ特定の匂いのみが本能的恐怖を引き起こすのだろうか? 動物が恐怖を感じるとストレスホルモンが分泌される。 我々はこのストレスホルモン分泌の主要制御因子である神経細胞(CRHニューロン)に注目し、匂い受容からCRHニューロンへとつながる神経回路の解析を行った。仮性狂犬病ウイルス(PRV)は神経細胞に感染してシナプス結合を通して上流の神経細胞へ逆行輸送される性質を持つ。我々はPRVを利用して、特定の神経細胞に接続している神経細胞を可視化できる経シナプス性トレーサーウイルスを作成した。さらにPRVと他のウイルスベクターを組み合わせることによって、特定の神経細胞に直接接続している神経細胞を可視化する方法も確立した。これら二つの方法を組み合わせることにより、匂いに関わる神経回路内でCRHニューロンを直接的、間接的に制御する 領域を複数同定した。さらなる解析によりいくつかの領域が実際にCRHニューロンを活性化し、捕食者の匂いによるCRHニューロンの活性化に関わることが示された。我々が作成したような経シナプス性トレーサーは複雑な神経回路の解析に有用であると考えられ、この点についても議論したい。