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「視覚運動に対する周辺刺激と音の修飾効果」西田眞也(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

CiNet/FBS Seminar

「視覚運動に対する周辺刺激と音の修飾効果」

日時:2013年10月11日 16:00 - 17:30
場所:吹田キャンパス CiNet棟1階セミナー室

抄録: この発表では、運動視に関する最近の研究を二つ紹介する。

ランダムドットのコヒーレント運動はMT/V5などの中位運動視メカニズムの特性を反映する刺激として、多くの神経生理実験や心理物理実験で用いられてきた。我々はこのコヒーレント運動感度が、周辺に静止刺激を提示することで大きく向上することを見出した。この現象には、刺激提示が短いこと、周辺刺激が中心運動刺激と同期して提示されることが必要であった。心理物理的に推定した応答特性から、周辺刺激は主として入力ゲインを変化させることが明らかとなった。

等間隔で交代する視覚フラッシュに音を重ねると、音のタイミングによって視覚運動が変化する。この現象は、聴覚信号が時間的腹話術効果によって運動検出器に入力する視覚信号のタイミングを変化させた結果といわれてきた。しかし、我々は、聴覚刺激の類似性を操作した実験から、この現象はクロスモーダル群化の結果として説明可能で、脳内時間の伸び縮みは必要ないことを示した。同様の発想で、ダブルフラッシュ錯視も低次脳内表象の変更を仮定せずに説明できることを示した。



上記のセミナーとは別に、基礎工学部の「生物工学特論A」が前日の10月10日(木)~11日(金)の2日間あります。 この授業部分は豊中キャンパスの基礎工学部で行います。4年生だけでなく、院生や研究者の皆様の聴講も歓迎です。

講義タイトル:「動きと時間、そして質感の視覚心理物理学」
講師:西田眞也先生(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

講義日と時限:
10月10日(木)
 第3時限(13:00 - 14:30)基礎工学部 B-104号室
 第4時限(14:40 - 16:10)基礎工学部 B-104号室
10月11日(金)
 第2時限(10:30 - 12:00)基礎工学部 B-104号室
 第3時限(13:00 - 14:30)基礎工学部 B-102号室(この回だけ教室変更に注意)

講義内容:
心理物理とは、さまざまな刺激を見せたときの観察者の主観判断や行動反応から、脳の情報処理の機能や大局的な構造を明らかにしようとするものである。本講義では、まず、心理物理の考え方、方法論について簡単に紹介した後に、以下のような具体的なテーマに関して考える。
  • 視覚系は動きの情報をどのようにとらえるのか。
  • 動き・形・色などの異種視覚属性はどのように相互作用するのか。
  • 異種視覚属性や異種モダリティ間の時間関係はどのように判断されるのか。
  • 光沢感や材質感などのものの質感を脳はどのように判断しているのか。



授業予習用参考文献:
  1. Webサイト:http://www.brl.ntt.co.jp/people/nishida/index-j.html
  2. Nishida, S. (2011). Advancement of motion psychophysics : Review 2001-2010. Journal of Vision, 11 (5), 11, 1-53.
  3. Motoyoshi, I., Nishida, S., Sharan, L. & Adelson, E.H. (2007).
    Image statistics and the perception of surface qualities, Nature, May 10 ; 447 (7141) : 2006-2009.
  4. 西田眞也(2012)「視覚における質感知覚」生体の科学 63 (4), 255-262.
  5. 西田眞也、藤崎和香(2009)「時間的同期にもとづく感覚属性のバインディング」日本神経回路学会誌 16 : 22-30 (2009)