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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)189

講演者 小柳光正 (大阪市立大学 大学院理学研究科 生物地球系専攻 准教授)
演題 動物の光受容タンパク質の多様性とその活用術
日時 2018年6月27日(水)12:15〜13:00(実施報告を追加しました)
場所 生命システム棟2階セミナー室
世話人 橘木修志(細胞内情報伝達研究グループ 准教授)
Tel: 06-6879-4610
E-mail: banaki[at]fbs.osaka-u.ac.jp












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要旨

多くの動物は、光情報を視覚や概日リズムの調節などのさまざまな生理機能に利用している。それら動物の光受容の入り口に位置し、光をキャッチする分子が視物質ロドプシンに代表される光受容タンパク質で、その性質が、受容する光の波長域(色)や細胞応答の特性など、光受容の性質の大部分を決定する。また、動物の光受容タンパク質はGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種であることから、GPCRのモデルとして、創薬を含むGPCR研究においても注目されている。これらの重要性に着目し、私たちは、さまざまな動物が持つ多様な光受容タンパク質の機能解析を行うことで、動物の光受容の分子基盤の解明やその多様性・進化について研究を行ってきた。本コロキウムでは、光受容タンパク質の活用術と題して、光受容タンパク質の性質を意外な形で利用した、ハエトリグモのピンぼけ像にもとづく奥行き知覚と、最近私たちが取り組んでいる、動物の光受容タンパク質を利用したGPCRシグナル伝達の光操作、すなわち光遺伝学への応用について紹介する。

実施報告

本コロキウムでは、大阪市立大学の小柳先生をお招きし、動物の光受容機構に関わる2つの話題についてご口演いただいた。まず最初に、2つの話題に共通する基礎知識として、動物がもつ光受容タンパク質についての紹介があった。多くの動物は、光情報を視覚や概日リズムの調節などのさまざまな生理機能に利用しているが、光情報をキャッチする分子の一種が視物質ロドプシンに代表されるレチナール型光受容タンパク質で、その性質が、受容する光の波長域(色)や細胞応答の特性など、光受容の性質の大部分を決定することや、動物のレチナール型光受容タンパク質はGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種であることから、GPCRのモデルとして、創薬を含むGPCR研究においても注目されていることが紹介された。

このイントロダクションの後、一つ目の話題として、ハエトリグモの奥行き知覚機構の仕組みについての研究成果をご紹介いただいた。ハエトリグモが4層の光受容細胞層をもっており、最下層と一つ前の層で、同じ物体からの光が結ぶ像の大きさが変わること、この現象を利用してハエトリグモが奥行き知覚をおこなっていることが示された。また、二つ目の話題として、動物のレチナール型光受容タンパク質を光遺伝学へ応用した研究成果をご紹介いただいた。センチュウの行動を制御する動画は大変印象的であった。これまで、微生物型のレチナール光受容タンパク質を使った光遺伝学は多く行われてきているが、この技術では膜電位の制御しか行えない。これに対して、代謝型である動物の光受容タンパク質を動かすことにより、多様な細胞内情報伝達過程の制御が可能になることは重要であり、会場からもどのような系の制御が可能なのか質問が出るなど、活発な討論が行われた。


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