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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)91

講演者 西本伸志((独)情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター(CiNet) 主任研究員)※演者が変更になりました。
演題 「自然刺激を用いて脳神経情報表現を探る:定量的脳機能理解への実践的試み」
講演者 山本慎也((独)産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門 主任研究員)
演題 「尾状核尾部:物体指向性サッカードとスキル形成」
日時 2013年9月18日(水)15時00分〜17時00分
場所 脳情報通信融合研究センター(CiNet棟)1階大会議室
※今回は、ナノバイオロジー棟 3階セミナー室ではありませんのでご注意ください。
世話人 世話人:田村弘(生命機能研究科 准教授)
TEL:06-6879-7969
e-mail:tamura@fbs.osaka-u.ac.jp












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実施報告

今回のコロキウムではCiNet主任研究員の西本伸志先生と、産業技術総合研究所主任研究員の山本慎也先生にご講演いただきました。両先生には、複雑な視覚世界における能動的でダイナミックな視覚情報処理というテーマで大変興味深いお話をお聞かせいただきました。専門外の参加者にも非常に分かりやすいご講演であったこともあり、様々な質問も参加者から投げかけられ活発な議論となりました。
西本先生には、「自然刺激を用いて脳神経情報表現を探る:定量的脳機能理解への実践的試み」という題名でお話をいただきました。我々の視覚体験は複雑で多様かつダイナミックであるという立場から、コントロールした単純な視覚刺激ではなく、自然動画を見ているときのヒトの脳活動をfMRIにより記録し、その脳活動を様々なモデルで説明するご研究について紹介いただきました。西本先生によると、当時在籍していた、カリフォルニア大学のJack Gallant 教授のラボで、その実験計画を話したときには、ラボメンバーが全員口をそろえて「そんなことは無理」と否定的な意見が多かったとのことでした。しかしながら、西本先生は、初期視覚野の脳活動が運動エネルギーモデルで、また高次視覚野の脳活動がカテゴリーモデルで、それぞれよく説明できることを示されました。また、視覚的注意によって脳内で表現されているカテゴリー空間が変化し、より現在行っている行動目的に即した情報表現が実現していることを発見されました。ご講演の最後にはデコーディングのお話に移り、脳活動から今見ている画像を推定する試みについて動画を交えてお話頂きました。
山本先生には「尾状核尾部:物体指向性サッカードとスキル形成」という題名でお話し頂きました。これまでの研究において、サッカード眼球運動についてはよく調べられている一方で、どの場所のどの物体に目を向けるのか?それを決定する仕組みについてはあまり調べられていませんでした。山本先生はそれを司る脳部位が尾状核尾部であると予想し、サッケード課題や、自由視課題を行っているサルの尾状核尾部のニューロン活動を記録、解析されました。その結果、尾状核尾部ニューロンは、視覚刺激の種類と提示場所に選択性を示すことから、どこに何があるかという情報を持っていることが推測されました。また、尾状核尾部ニューロンの微弱電気刺激により、サッケードが引き起こされることがわかりました。このことはこの部位のニューロン活動がサッケードをコントロールする能力があることを示唆しています。また、長期にわたる報酬との連合学習訓練により、尾状核尾部ニューロン活動が変調することが分かりました。この変調がスキル形成に関係している可能性について議論が及びました。お話の中では山本先生がお考えになっている尾状核尾部ニューロンの役割や、他の脳領野との機能的関係について示唆に富む提案があり、多いに盛り上がりました。


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