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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)90

講演者 大森治紀(京都大学大学院医学研究科 教授)
演題 「聴覚神経情報処理の細胞メカニズムおよび測光電極の開発と応用」
講演者 竹内裕子(生命機能研究科倉橋研究室 助教)
演題 「神経ナノプロセスの実時間測定」
日時 2013年7月18日(木)14時30分〜16時30分
場所 生命機能研究科ナノバイオロジー棟3階セミナー室
世話人 世話人:倉橋隆(生命機能研究科 教授)
TEL:06-6850-6540
e-mail:kurahasi@bpe.es.osaka-u.ac.jp












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実施報告

第90回生命機能研究科研究交流会は特別講演として京都大学大学院医学研究科から大森治紀教授をお招きし、講演として本研究科倉橋研究室の竹内裕子助教にご講演をいただきました。
講演の内容はどちらも感覚機能の分野における最新の技術であり、さらなる発展が期待される内容でした。また、今回たくさんの方がコロキウムにご参加くださり、講演に引き続き懇親会でも活発な議論が行われ、親睦が深められました。

特別講演:
大森 治紀 教授 京都大学大学院 医学研究科
「聴覚神経情報処理の細胞メカニズムおよび測光電極の開発と応用」

 聴覚は耳で捉えた音の時間差を10μ秒オーダーで識別できる極めて短い時間情報を正確に扱うことのできる感覚機構です。また、1ミリ秒の時間精度で刻む脳神経回路を用い、100倍の精度を実現する聴覚神経機構は驚異的なことです。
 そこで、今回は以下のような議論が行われました。
1)    研究室では、ニワトリの脳切片標本を用いた高精度で両耳間時差を検出する神経回路の研究をなされています。時間情報は蝸牛神経核の亜核に相当する細胞核で抽出され、左右の細胞核から興奮性投射を受け、次の層状核で時間差の識別が行われます。このシナプス伝達は周波数帯域に応じて特殊に分化しています。シナプス後細胞のNL細胞では様々なチャネルの発現や抑制性シナプスの発現が変化します。さらにシナプス前部の代謝調節型グルタミン酸受容体の発現も変化します。 
 そこで、シナプスおよびイオンチャネルの分布が周波数特異的に変化することで精度の高い時間情報の処理が実現できることについて議論しました。
2)    近年では蛍光指示薬の開発と多光子顕微鏡による画像化で多くの細胞内情報伝達物質動態が解析されていますが、聴覚神経核の多くは脳の深部に位置するため不可能とされています。
 研究室では脳の深部で物質動態を反映した蛍光測光を行い、同時に電気的活動を記録できるように測光電極法を開発しました。そこでこの方法の下丘における聴覚神経活動を対象に新しい実験技術の応用と可能性を議論しました。

講演:
竹内 裕子 助教 大阪大学大学院生命機能研究科 生理学研究室
「神経ナノプロセスの実時間測定」

 嗅覚を感知する嗅細胞にはcilia(直径100nm)が存在します。嗅覚情報変換分子機構はセカンドメッセンジャー分子に制御され、cilia内で行われます。このナノプロセスを定量的に理解するため、cilia内部をコントロールするケージド化合物やイオンチャネルにおいて電気生理学的手法であるパッチクランプ法を用いた電流記録測定を行いました。また嗅覚情報変換を司るセカンドメッセンジャーの移動はcilia内で制限されていることをデジタルモデリングのプログラムにより検証しました。
 以上の実験からciliaは細胞を極性化し、コンパクトな細胞の空間的コンパートメントを実現していることが分かりました。これはナノプロセスを持つ他の神経細胞にも適用でき、技術の組み合わせによる発展が期待されます。


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