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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)88

講演者 中戸川仁(東京工業大学 准教授)
演題 「酵母研究が映し出すオートファジーのメカニズムの最新像」
講演者 田中啓二(東京都医学総合研究所 所長)
演題 「プロテアソーム~発見から四半世紀の軌跡~」
日時 2013年5月29日(水)16時00分〜18時00分
場所 脳情報通信融合研究センター(CiNet棟)1階大会議室
※会場はナノ棟3階セミナー室ではありませんのでお気を付け下さい。
世話人 世話人:岡本浩二(生命機能研究科 准教授)
TEL:06-6879-7970
e-mail:kokamoto@fbs.osaka-u.ac.jp












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実施報告

 第88回生命機能研究科研究交流会では、東京工業大学フロンティア研究センターの中戸川仁准教授と、東京都医科学総合研究所の田中啓二所長に講演を行っていただきました。
 中戸川先生は、大腸菌をモデルとした前駆体タンパク質の膜透過機構で著名な発見をされた後、酵母オートファジーの分子機構の解明さらなる発展を遂げておられる若手のトップリーダーです。中戸川先生には「酵母研究が映し出すオートファジーのメカニズムの最新像」というタイトルで講演をいただきました。講演前半では、オートファジー膜動態に必須であるユビキチン様タンパク質Atg8は膜形成において膜の繋合とヘミフュージョンに関わるということ、そしてオートファゴソーム膜は一体何者であるか、その前駆体膜の存在について最新のデータを紹介していただきました。講演後半では、選択的オートファジーの開始を制御するリン酸化酵素について最新の結果をお話して頂きました。未だ解明されてないオートファジー分子メカニズムの解明に繋がる可能性を強く感じられる、とても興味深い講演内容でした。
 コロキウム後半の講演者である田中啓二先生はプロテアソーム研究の歴史を体現され、生命科学分野全般における最先端リーダーです。また、数多くの優秀な若手研究者を輩出されておられる素晴らしいメンターでもあります。講演は「プロテアソーム~発見から四半世紀の軌跡~」と題して、プロテアソーム発見までの経緯・発見とその命名に始まり、プロテアソームを構成する因子の同定(現在同定されているプロテアソームサブユニット遺伝子の70%は先生の研究室で発見されたそうです!)と数々の結晶構造解析についてお話していただきました。先生の研究はこれだけにとどまらず、近年新しいプロテアソームとして免疫特異的プロテアソームと胸腺特異的プロテアソームを発見されました。細胞性免疫に関わるT細胞は胸腺での分化時に受ける正の選択には、MHCクラスIに提示されたペプチドとの結合力がその生死を分けると考えられていました。しかし、胸腺特異的プロテアソームによって分解された特異なペプチドがCD8+T細胞の正の選択のために必須であることを見出されました。これまで考えられていた概念を覆し、教科書を書き換えるに値する研究成果についてご講演していただきました。
 お二人のご講演から共通して、得られた結果を正直に且つ客観的にとらえ、そこから綿密に計画を練って研究を行うことがとても大切であり、何よりも常に疑問を持って研究に取り組むという真摯な姿勢がこのような素晴らしい研究成果に繋がるのだと感じられました。田中先生が「たくさんの成功の裏にはその100倍以上の失敗がある」とおっしゃっておられました。本日集まっていただいた方々、特に学生や若い研究者にとっては、今後の研究生活への励みとなったのではないでしょうか。ご講演頂いたお二人の先生、お集まりいただいた方々に感謝いたします。

                                   岡本研究室 特任研究員 榊原佳織


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