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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)97

講演者 椛島健治(京都大学医学研究科 皮膚科・准教授)
演題 「4Dイメージングが拓く皮膚免疫・アレルギーの新機軸」
講演者 菊田順一(大阪大学医学系研究科 免疫細胞生物学・助教)
演題 「骨の生体二光子励起イメージング~骨代謝・免疫研究の新展開~」
日時 2014年4月21日(月)16時00分〜18時00分
場所 生命機能研究科 ナノバイオロジー棟3階セミナー室
世話人 菊田順一(医学系研究科 助教)
TEL:06-6879-3881
e-mail:jkikuta@icb.med.osaka-u.ac.jp












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実施報告

報告
2014年4月21日に第97回生命機能研究科研究交流会が開催されました.今回は京都大学医学研究科皮膚科の椛島健治先生と大阪大学医学系研究科免疫細胞生物学の菊田順一先生がご講演くださいました.

初めに椛島先生より「4Dイメージングが拓く皮膚免疫・アレルギー研究の新機軸」について御講演頂きました.まず皮膚機能の基本的なことに関して紹介頂き,イメージング技術を用いて臨床応用を目指した以下の3つのトピックに関してお話し頂きました.

1.    外来抗原に対する皮膚免疫応答
2.    抗体分布機序に関して
3.    非侵襲的皮膚疾患診断法に関して

外来抗原に対して皮膚免疫反応は多様性があります.抗原に暴露され,表皮角化細胞層がシグナルを出し,皮膚樹状細胞が成熟し遊走していきます.樹状細胞は所属リンパ節にて抗原を提示し,リンパ管から血中に出て行くエフェクターT細胞は皮膚へ集積します.
二光子励起顕微鏡で観察すると,イニシエーターとして重要な真皮樹状細胞とT細胞がクラスターをつくっていること,IFNγを産生していることが分かりました.これらは従来分かっていた病理の結果と合致しています.また,マクロファージは真皮樹状細胞を引き寄せることもケモタキシスにより確認されています.臨床での所見と基礎研究を繋いだ素晴らしい内容でした.
2つ目の抗体分布機序に関しては,天疱瘡を例に紹介頂きました.従来は血管の透過性の評価はエバンスブルーを用いていましたが生体内で経時的に観察することは困難でした.そこで様々な分子量の蛍光標識デキストランをマウスに静脈注射し,イメージングにより皮膚における血管の透過性を評価しました.これにより70kDa以下では炎症がなくても血管外に漏れだすことがわかり,これは60kDaのアルブミンが血管内に留まることと合致した結果です.また血管の透過性は,動脈,毛細血管,静脈の順で血管内物質が通過することがわかり,これにより血管の種類の区別を明確にされていました.
3つ目の非侵襲的皮膚疾患診断法に関しては,臨床現場において皮膚生検から光生検を目指して安全な生体蛍光ラベル分子の探索をされているそうです.しかし深さ方向に関しては二光子励起顕微鏡では,ヒトにはまだ応用しにくいのが現状です.そこで,OCT(光コヒーレンストモグラフィー)を皮膚科に応用することでより深部をみる試みをされているそうです.他にも光超音波イメージングにより血管炎や熱傷を評価することやラマン分光顕微鏡によるイメージングにも挑戦されているようです.

本講演では鮮やかで綺麗なイメージング動画はもちろん,臨床と研究をつなぎ合わされたストーリー性のある研究をご紹介いただきとても楽しめました.皮膚科領域で基礎研究が非常に重要であることが分かりました.

菊田順一先生からは「骨の生体二光子励起イメージング〜骨代謝・免疫研究の新展開〜」に関してご講演頂きました.まず二光子励起顕微鏡の仕組みに関して詳細に説明頂き,その後,特に骨組織におけるin vivoイメージングの方法論や今後の展望に関してご紹介頂きました.
成熟破骨細胞の動態を可視化するためにATP合成酵素のプロトンポンプのサブユニットであるa3サブユニットとGFPが融合したノックインマウスを作製しました.このマウスにより生きたマウスの生体内で成熟破骨細胞が骨を吸収している姿を捉えることに成功しました.更に詳細に解析した結果,破骨細胞の中には実際に骨を壊している細胞(R型)とそうでない細胞(N型)が存在することが明らかとなりました.こうした知見をもとに破骨細胞の総数を減らすのではなくR型を減らしN型を増やすような治療薬を開発することを目標にイメージングを行っていく予定です.
活性化型ビタミンDによる破骨前駆細胞の遊走制御についても紹介頂きました.活性化型ビタミンDは破骨細胞を骨へと引き寄せるS1PR2を減らす作用があり,それにより破骨細胞を骨表面に近づけず骨破壊を抑制していることが分かりました.
これらの知見をもとに新しい骨粗鬆症に対する薬剤が開発されることが楽しみです.

コロキウム後はナノ棟1階に場所を移して懇親会が開かれました.研究に関する活発な議論が続き,参加者間の親睦が深められました.


(免疫細胞生物学博士一貫課程二年 青井啓太)


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