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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)250

講演者 黒田純平 (特任研究員/パターン形成研究室(近藤滋研))
演題 直線状に発達するヒレ骨の建築に必須なコラーゲン結晶のダイナミクス
講演者 中川日々紀 (五年一貫制博士課程4年/パターン形成研究室(近藤滋研))
演題 建築資材としての槍状コラーゲン結晶:ヒレ骨形成における役割の解明に向けて
日時 2020年10月1日(木)12:15〜13:00
場所 Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なサインイン情報等は当日の午前中に、関係者へのメールにてアナウンス致します。
世話人 世話人:渡邉正勝
Tel:06-6879-7997
E-mail:watanabe-m[at]fbs.osaka-u.ac.jp
言語 英語

要旨

タイトル:体を建築する方法

【背景】:後期発生における形態形成の原理解明を目指している。後期発生を考える際に、初期発生と大きく異なる条件がある。それは、体が細胞と比べて「でかい・重い」ということである。初期発生は、細胞が自律的に組みあがって、胚の形ができる。しかし、それが可能なのは、胚が、細胞の大きさと比べ、それほど大きくないからだ。細胞は物理的に脆弱だから、細胞のくみ上げで大きな成体の形を作ろうとしても、体の形を維持する剛性が足りない。多くの場合、成体の体に剛性を与えているのが、骨、軟骨、コラーゲンなどである。これら自体は「細胞」ではなく、非細胞の構造体であり、細胞は、これらを製造し、運搬し、組み上げることで、成体の形を作り出す。

演題/要旨

直線状に発達するヒレ骨の建築に必須なコラーゲン結晶のダイナミクス

繊維性コラーゲンは、巨大な重合体を形成することで、皮膚や筋肉、骨などの組織に物理的な強度や柔軟性を与える。コラーゲン複合体が正しく機能するためには、繊維の密度や配向が、正しく設定されている必要があるが、それがどのように行われているかは、不明な点が多い。魚類のヒレは直線状に発達する硬骨によって支えられており、各ヒレ骨の先端部は槍状の形状をしたアクチノトリキアと呼ばれる太い直線状のコラーゲン繊維と連結している。このアクチノトリキアが一定のサイズに作られ、規則正しく放射状に配向することが、正常な骨の形態形成に重要であると推測されている。我々はこのユニークなヒレの形態形成に着目して研究を行っており、最近、細胞がこのアクチノトリキアを資材として巧みに利用することで、巨大な骨を建築する機構が明らかになりつつある。本コロキウムでは、ヒレ骨形成に必須な、アクチノトリキアを‘作る’、‘並べる’、‘輸送する’、‘分解する’という作業工程について調べた結果を報告し、これまでに知られていなかった新しい形態形成原理を紹介したい。

建築資材としての槍状コラーゲン結晶:ヒレ骨形成における役割の解明に向けて

魚類のヒレは、放射状に並ぶ十数本のヒレ骨に支えられている。ところが実は、ヒレ骨が存在するのは先端部の少し内側までで、そこから先の部分には、アクチノトリキアと呼ばれる槍状のコラーゲン結晶が整然と並んでいる。ヒレ骨がつくられる時には、アクチノトリキアが次第に束ねられ、そこに骨成分が沈着していく。このヒレ先端に整列したアクチノトリキアは、ヒレの形態形成においてどのような役割を果たしているのだろうか?これを調べるため、私は、アクチノトリキアの並びが乱れた変異体を作製し、この変異体におけるヒレ骨の形態や周辺の細胞への影響を調べた。その結果、まだ骨がつくられていない=ふにゃふにゃとしたヒレ先端において、剛性の高いアクチノトリキアがピシッと整列することで、ヒレが背腹軸方向に広がるための物理的なテンションを生み出していることが解った。本コロキウムでは、その結果を中心に、ヒレ骨形成におけるアクチノトリキアの機械的な役割について紹介する。


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