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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)232

講演者 佐々木 健介 (特任研究員(細胞分子神経生物学研究室(山本研))
演題 神経細胞軸索の枝分かれを制御するRhoグアニンヌクレオチド交換因子
講演者 宮阪 優美 (博士課程大学院生 D5/D5 (細胞分子神経生物学研究室(山本研))
演題 発達期大脳皮質において神経活動の発火パターンが時空間的な遺伝子発現を制御する
日時 2019年11月21日(木)12:15〜13:00
場所 生命システム棟2階セミナー室
世話人 世話人:白崎竜一
Name:Ryuichi Shirasaki       
Tel :06-6879-4635
E-mail:shirasaki@fbs.osaka-u.ac.jp
言語 日本語












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演題/要旨

神経細胞軸索の枝分かれを制御するRhoグアニンヌクレオチド交換因子

神経細胞の軸索分岐は神経回路形成において重要な過程である。しかし、軸索分岐を担う細胞骨格制御機構には不明な点が多い。本研究では、細胞骨格制御因子RhoAの活性化に働くグアニンヌクレオチド交換因子、RhoA-GEFファミリーに着目し、大脳皮質水平軸索の分岐形成に対する役割を調べた。はじめにRhoA-GEFファミリーの遺伝子発現を28種類すべてに対してIn situ hybridization で調べたところ、半数以上のメンバーが発達期ラット大脳皮質に発現していた。これらの多くはマカクザルの大脳皮質においても発現が認められた。次に、スライス培養法を用いて皮質ニューロンでRhoA-GEFの過剰発現を行ったところ、複数のRhoA-GEFが水平軸索の枝分れを顕著に増加させることが見いだされた。興味深いことに、分岐の様相は過剰発現した遺伝子によって異なっていた。特に、ARHGEF18を過剰発現したものでは軸索末端部分に多くの枝が形成されていたが、ABRを過剰発現したものでは短い枝が水平軸索全体に数多く形成されていた。過剰発現した軸索をRho kinase阻害剤で処理すると、ARHGEF18による枝の増加は完全に阻害されたが、ABRに対しては部分的であったことから、それぞれのRhoA-GEFの下流で異なる分子が働いていることが示唆された。最後に、RNAiで内在性の遺伝子発現を抑制したところ、ARHGEF18、ABRどちらの発現を抑制しても枝分れの数が有意に減少した。以上の結果から、哺乳類大脳皮質ニューロンの軸索分岐形成において、複数のRhoA-GEFが異なる様相で機能していることが明らかになった。

発達期大脳皮質において神経活動の発火パターンが時空間的な遺伝子発現を制御する

発達期の大脳皮質神経回路は神経活動に依存して形成される。これまでの研究から、神経活動依存的に発現する遺伝子が回路の配線に重要な役割を持つことが明らかになってきた。しかし生理的な神経活動がどのように時空間的な遺伝子発現を制御するかについてはほとんど明らかになっていない。この問題を明らかにするため、私たちは神経回路形成に重要な遺伝子の一つである神経栄養因子BDNFに注目し、大脳皮質組織切片上で遺伝子発現のライブイメージングを行うことで、薬理学的・電気生理学的刺激に応答するBDNFの発現の時空間的な変化を解析した。その結果、BDNFプロモーター活性の増加率やタイムコースは刺激パターンによって異なることが分かった。興味深いことに同じパターン刺激でも増加率は細胞ごとに大きく異なっていた。さらに、近い増加率を示す細胞同士が近傍に位置していることも分かった。これらの結果は、神経活動依存的な遺伝子発現様式は神経活動のパターンによって異なっており、さらに近しい神経活動依存性を持つ大脳皮質細胞は空間的に集積していることを示唆している。


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