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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)210

講演者 大西 真駿 (ミトコンドリア動態学研究室/5年一貫博士課程5年・日本学術振興会特別研究員DC2)
演題 小胞体膜タンパク質生合成経路によるミトコンドリア特異的オートファジーの制御
日時 2019年5月9日(木)12:15〜13:00
場所 生命システム棟2階セミナー室
世話人 世話人:岡本浩二(生命機能研究科ミトコンドリア動態学研究室・准教授)
Contact:Koji Okamoto        
Tel :06-6879-7970
E-mail:kokamoto@fbs.osaka-u.ac.jp
言語 英語












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演題/要旨

小胞体膜タンパク質生合成経路によるミトコンドリア特異的オートファジーの制御

余剰または不良ミトコンドリアは特別な膜小胞によって選択的に丸ごと隔離され、分解コンパートメントであるリソソーム(酵母や植物では液胞)に運ばれて除去される。この仕組みは、細胞の自食作用「オートファジー」の系を利用していることから「ミトコンドリア特異的オートファジー(マイトファジー)」と呼ばれ、ミトコンドリアの量や質を管理している。マイトファジーは酵母からヒトまで高度に保存された仕組みであり、その欠損は神経変性疾患や心/肝不全、老化、がんといった多くの病態につながる。過去の研究において、マイトファジー誘導時にミトコンドリア分解の目印として活性化する鍵分子が多数明らかにされてきた。しかし、どのようにしてマイトファジー鍵分子が活性化されるのか、その詳細はまだよくわかっていない。私たちは最近、出芽酵母を用いた解析により、小胞体膜タンパク質生合成経路に関連したタンパク質がマイトファジーに機能している可能性を見出した。そこで本セミナーでは、近接する異種オルガネラの因子がミトコンドリアの選択的分解を制御するモデルについて、最新のデータを紹介しながら議論したい。

実施報告

第210回FBSコロキウム実施報告

第210回FBSコロキウムでは岡本研究室 日本学術振興会特別研究員DC2大西真駿氏が「小胞体膜タンパク質生合成経路によるミトコンドリア特異的オートファジーの制御」と題して講演を行なった。
 長期呼吸増殖中の酵母細胞では、余剰または不良ミトコンドリアが選択的に丸ごと隔離され、分解コンパートメントであるリソソーム(酵母や植物では液胞)に運ばれて除去される。この仕組みは、細胞の自食作用「オートファジー」の系を利用しており「ミトコンドリア特異的オートファジー(マイトファジー)」と呼ばれ、ミトコンドリアの量や質を管理している。過去の研究において、マイトファジー誘導時にミトコンドリア分解の目印として活性化する鍵分子Atg32が明らかにされた。しかし、どのようにしてマイトファジー鍵因子Atg32が制御されるのか、その詳細はまだよくわかっていない。講演者は最近、出芽酵母を用いた解析により明らかにした、近接する異種オルガネラの因子がミトコンドリアの選択的分解を制御するモデルについて、最新のデータを交えて議論を行なった。
 講演の前半では、小胞体のタンパク質の品質管理を行う因子Doa10が直接的にマイトファジーの鍵因子Atg32の発現レベルを制御すること、小胞体に局在するDoa10がAtg32を認識するのに小胞体テイルアンカータンパク質の膜挿入に重要なタンパク質Get3が重要であることなど、これまで解明してきた分子メカニズムについてお話しされた。
また、講演の後半では、小胞体膜タンパク質生合成経路に関連したタンパク質Get1/Get2がマイトファジーに機能している可能性に着目してお話し頂いた。今回の講演では、Get1/Get2の欠損でマイトファジーが抑制されること、Get1/Get2の変異株ではマイトファジーの進行に重要なAtg32-Atg11の相互作用が低下することなど、マイトファジー変異株の遺伝学的スクリーニングで明らかにされたGet1/Get2複合体がどのようにマイトファジーの制御に関与するのか、最新の知見を紹介して頂いた。
質疑応答では、詳細な分子機構から個体レベル、そしてAtg32はどのように傷ついたミトコンドリアを認識するのかといった本質的な質問も見受けられた。60名を超える聴講者と終了時間間際まで活発な議論を行い、当該研究分野の重要性と醍醐味を、参加者と共に再確認することができた。


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