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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)199

講演者 宮川さとみ (生命機能研究科 病因解析学研究室(仲野研)・准教授)
演題 人為的piRNA産生システムによる遺伝子サイレンシング
講演者 山口新平 (生命機能研究科 病因解析学研究室(仲野研)・助教)
演題 ES細胞における異なる未分化状態を示す細胞への移行メカニズム
日時 2018年11月14日(水)12:15〜13:00
場所 生命システム棟2階セミナー室
世話人 世話人氏名:山口新平
Contact:Shinpei Yamaguchi        
Tel :06-6879-3722
E-mail:yamaguchi@patho.med.osaka-u.ac.jp












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演題/要旨

人為的piRNA産生システムによる遺伝子サイレンシング

piRNA(PIWI interacting RNA)は主に生殖細胞に特異的に発現している小分子RNAである。胎仔期の雄性生殖細胞において、レトロトランスポゾン遺伝子のセンス鎖とアンチセンス鎖の配列を持つ一本鎖RNAがpiRNA前駆体として転写され、piRNAが産生される。我々は、アンチセンスRNAを発現させることにより、人為的にpiRNAを産生させ、レトロトランスポゾン遺伝子のみでなく内在性の遺伝子に対してもpiRNA依存的に遺伝子発現を抑制するシステムを開発した。この方法を用いて作成したアンチセンス鎖のDnmt3Lを発現するDnmt3L遺伝子サイレンシングマウスでは、Dnmt3Lのセンス鎖とアンチセンス鎖に対するpiRNAが産生されること、その結果、Dnmt3Lがサイレンシングされ、標的遺伝子のDNAメチル化が障害されること、そして、DNMT3L欠損マウスと同様に精子形成不全を示すことが明らかとなった。このTgマウス、全ゲノムシークエンスにより、トランスジーンが2ヶ所に多コピー挿入されていることがわかり、さらに、コピー数と精子形成異常に相関があることを見出した。本セミナーでは、piRNAを介するサイレンシングメカニズムについて議論したい。

ES細胞における異なる未分化状態を示す細胞への移行メカニズム

胚性幹細胞(ES細胞)は様々な細胞に分化できる多能性と正常な核型を、長期間の培養においても維持できる。ES細胞中には、0.5%程度とごく少数ながら、2細胞期胚に類似の性質を示す2細胞期胚様細胞(2CL細胞)が存在し、テロメア長や未分化状態、そして正常核型の維持に重要な役割を担っているといわれている。しかし、通常のES細胞がどのようなシグナルによって2CL細胞状態に移行しているのかは未解明であった。我々は、リボソームRNA生合成に重要なPum3を欠損して、リボソームストレスが誘導されたES細胞では、2CL細胞が増加していることを見出した。さらに、UV照射や薬剤で、DNA二重鎖切断ストレスを誘導した場合にも2CL細胞が増加していた。これらのストレスはp53が活性化されており、p53を欠損すると2CL細胞の増加は全くみとめられなくなった。p53はストレス依存的な2CL細胞移行を制御しており、ES細胞の恒常性を維持する上で重要な役割を果たしていることが示唆された。


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