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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)28

講演者 柳田 充弘 教授 (沖縄科学技術整備機構/京都大学・大学院生命科学研究科)
演題 「分裂しない G0 細胞はいかにして生き続けるか?」
講演者 横井 雅幸 助教 (生命機能研究科・時空生物学講座・細胞構造研究室)
演題 「損傷乗り越え DNA ポリメラーゼ欠損マウスを用いた紫外線誘発皮膚発がんの研究」
日時 2007年 4月11日(水) 午後5~7時
場所 大阪大学生命機能研究科ナノバイオロジー棟・3階セミナー室
世話人 花岡文雄
Tel: 06-6879-7975
email: hanaoka@fbs.osaka-u.残りを追加












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実施報告

 4月11日(水)、生命機能研究科ナノバイオロジー棟3階セミナー室において第28回研究教育交流会が開催されました。今回は世界的に著名な研究者である柳田充弘教授を招いての交流会ということもあり、開始前から非常に多くの参加者があつまり、臨時に座席を用意するために開始時間が10分遅れるほどの熱気ある会となりました。
 特別講演に先立ち、生命機能研究科若手研究者の代表として細胞構造研究室 横井 雅幸助教より、「損傷乗り越え DNA ポリメラーゼ欠損マウスを用いた紫外線誘発皮膚発がんの研究」と題して講演が行われました。日光過敏症の原因遺伝子の1つとして、Yファミリーポリメラーゼに属するPolηを同定するとともに、Polη欠損マウスを使った解析により紫外線誘発皮膚発癌の抑制に非常に重要な役割を果たしていることを見出したことが報告されました。 遺伝病の原因因子の同定のみならず、モデル生物での役割の解析により発癌メカニズム迫るという興味深いもので、 本研究によりYファミリーポリメラーゼを間違いやすいDNAポリメラーゼとして分類する従来の考えが正しいものではないと再認識させられました。
 続いて、前半の熱気を保ったまま休憩時間を惜しんで、沖縄科学技術整備機構/京都大学・大学院生命科学研究科 柳田 充弘 教授から、「分裂しない G0 細胞はいかにして生き続けるか?」と題した特別講演が行われました。 柳田先生といえば、染色体分配の機構解析をはじめとする細胞分裂、細胞周期研究の第一人者として有名ですが、今回、あえて分裂をしない細胞にその焦点をあてたことは興味深いと思います。 G0細胞のモデルとして分裂酵母が窒素源枯渇により細胞周期を停止する性質を利用し、窒素源の付加による細胞周期への再進行の過程での変化を多角的に解析するという研究方針をもちいたそうです。 主に3つの方法で解析をおこない、そのひとつはマイクロアレイを使い、細胞周期への再進行の過程でmRNAの発現量の変化を追うもの、2つめは1000を越す温度感受性株から、窒素源枯渇状態でその生存が不可能になるものを解析するもの、3つ目はプロテオーム解析で、LC-MSを活用し、細胞周期への再進行の際に蛋白量が大きく変動するもの解析するものです。これらを指標に多くのG0細胞の生存に必須な遺伝子を同定したことを報告していただきました。多くの遺伝子が同定されたため、一見、網羅的な遺伝子ハンティングに終始してしまいそうな壮大な研究ですが、例えば転写因子でも特定のグループに属する転写因子が特異的に同定されているなど、今後、普遍的なメカニズム解析への展開が期待できると思いました。質疑応答では、窒素源の存在をどういった化学物質を通じて観測しているのか?、窒素源枯渇時の細胞の状態を電気回路になぞらえると?など複数の分野にまたがった生命機能研究科らしい質問が飛び出すなど熱のこもった議論が行われました。
 この後、議論の舞台は1階の懇親会会場に移され、少量のアルコールを交えながらさらに展開され、柳田先生が帰られた後も研究室間の交流も続き、講演の余韻を残しつつ閉幕しました。


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