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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)150

講演者 佐藤美由紀(群馬大学・生体調節研究所・生体膜機能分野/准教授)
演題 「受精卵におけるオートファジーとエンドサイトーシスの生理機能」
日時 2016年12月7日(水)16時〜17時
場所 生命機能研究科 生命システム棟2階セミナー室&ラウンジ
世話人 世話人:岡本浩二 (大阪大学院生命機能研究科・ミトコンドリア動態学研究室・准教授)
Tel :06-6879-7970
E-mail:kokamoto@fbs.osaka-u.ac.jp












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実施報告

【講演案内】

演者: 佐藤美由紀(准教授)

所属: 群馬大学・生体調節研究所・生体膜機能分野     

演題: 「受精卵におけるオートファジーとエンドサイトーシスの生理機能」    

要旨:

私たちは線虫C. elegansの生殖腺を用いた解析から,受精直後の受精卵においてはオートファジーとエンドサイトーシスという二つのリソソーム分解によって様々な膜成分の分解が起きていること見出し,この分解が"Oocyte-to-zygote transition"の一部であることを提唱している.エンドサイトーシスでは一群の卵子由来膜タンパク質がMVB経路を経て選択的に分解される.この過程にはユビキチン化の制御が関与し,受精卵でユビキチンの動態がダイナミックに変化する.一方,オートファジーでは精子から持ち込まれたミトコンドリアを含む父性オルガネラが選択的に分解されることから,この発生にプログラムされた選択的オートファジーを"allophagy (allogeneic organella autophagy)" と呼んでいる.ミトコンドリアDNAはさまざまな生物で母性遺伝することが知られているが,線虫においてはallophagyが母性遺伝の仕組みのひとつであることも示してきた.さらに最近,allophagyにおける基質選択性を制御する因子の同定を試み,allophagy特異的に機能する新規因子の同定に成功した.本セミナーでは受精卵におけるこれらリソソーム分解系の分子メカニズムと生理機能について議論したい.

世話人:岡本浩二 (大阪大学院生命機能研究科・准教授)
Tel 06-6879-7970
E-mail
:kokamoto@fbs.osaka-u.ac.jp

【実施報告】

 第150回FBSコロキウムでは群馬大学より佐藤美由紀先生をお招きし、線虫における受精卵のエンドサイトーシスとオートファジーのメカニズムについてご講演頂いた。
 線虫の卵母細胞には細胞膜のカベオラ形成を制御するカベオリン1(CAV1)が細胞質にvesicle状に局在している。雌雄同体である線虫が個体内で受精を行うと、受精卵内のCAV1がエキソサイトーシスにより細胞膜へと運ばれる。その後直ちに、CAV1はエンドサイトーシスにより再度取り込まれ、最終的にMVB経路に則りリソソームによって分解される。この一連の膜のダイナミクスは表層顆粒の形成に関与し、受精卵が胚発生を行うのに必須である。MVB経路はユビキチン化の制御に依存しており、佐藤先生は受精卵のユビキチンの局在や、MVB経路に関わるユビキチンの結合様式など、これまで解明してきた分子メカニズムについてお話しされた。
また、講演の後半では、非自己オルガネラの選択的オートファジー(アロファジー)についてお話し頂いた。精子由来のオルガネラである父性ミトコンドリアは、受精後にオートファジーによって分解される。佐藤先生は線虫における父性ミトコンドリアの選択的分解を世界で初めて見出しており、今回の講演では、アロファジーに必須な新規因子であるALLO-1の同定と、そのALLO-1がどのようにアロファジーの制御に関与するのか、最新の知見を紹介して頂いた。
質疑応答では、詳細な分子機構から個体レベル、そして父性ミトコンドリアを排除する生理的意義という本質的なものにまで質問が及んだ。これらの活発な議論を介しながら、当該研究分野の重要性と醍醐味を、参加者と共に再確認することができた。

(生命機能研究科・岡本研 学振研究員 英山明慶)


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