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生命機能研究科研究交流会(FBSコロキウム)104

講演者 角谷徹仁 ((国立遺伝学研究所 総合遺伝研究系・教授))
演題 「植物トランスポゾンの動態とDNAメチル化の遺伝学」
講演者 道家康平 ((生命機能研究科 染色体機能制御研究室・特任研究員))
演題 「染色体機能を制御する小分子RNAの産生メカニズム」
日時 2015年1月15日(木)16時00分〜17時45分
場所 生命機能研究科 生命システム棟2階セミナー室
世話人 世話人:石井浩二郎(生命機能研究科 特任准教授)
Tel:06-6879-4660
Email:ishii@fbs.osaka-u.ac.jp












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実施報告

 2015年1月15日に、第104回生命機能研究科研究交流会が開催されました。今回は、国立遺伝学研究所から角谷徹仁先生をお招きして、「植物トランスポゾンの動態とDNAメチル化の遺伝学」の演題でお話をして頂きました。また、今回の交流会を主催した当研究科の染色体機能制御研究室から、道家康平博士に「染色体機能を制御する小分子RNAの産生メカニズム」の演題でお話を頂きました。
 角谷先生は、シロイヌナズナをモデル生物に用いて、DNA配列に依存しない形質変化(エピジェネティクス)の遺伝メカニズムについて、ご自身の研究の歴史を振り返りながら大変丁寧にお話頂きました。近年、親世代のエピジェネティックな形質変化が子世代に遺伝する例が哺乳類でも報告され始めていますが、角谷先生は約20年前からその現象に着目して研究をされてきました。シロイヌナズナのDNAメチル化が低下するddm1突然変異体の単離から始まり、変異体の示す表現型の原因を、エピジェネティック変化とトランスポゾンの挿入による遺伝的変化に分類し、その詳細なメカニズムに関して古典的な遺伝学的手法や最新の次世代シークエンス技術を用いて解析されていました。また、トランスポゾンが持つアンチサイレンシング機能に関する最新の研究結果をお話頂き、生物進化におけるトランスポゾン同士あるいはトランスポゾンと宿主との競合、共生に関して大変興味深いお話をして頂きました。その徹底した遺伝学ベースの表現型観察と解析は、ストーリー先行の研究とは一線を画する力強さに満ちており、その素晴らしさに、ついついメモもとらずに聞き入ってしまいました。
 道家康平博士は、分裂酵母をモデル生物に用いて、セントロメアヘテロクロマチン形成に関与する小分子RNAの産生メカニズムに関してお話をして頂きました。初期的に生産された小分子RNA依存的にヘテロクロマチン構造が形成されると、構築されたヘテロクロマチン構造が足場となり、より多くの小分子RNAが合成されるといった、正のフィードバックが生じます。道家博士は、このフィードバックの初期に使用される小分子RNAが、セントロメアに由来する特定の配列をもったRNAから生産されることを示されていました。また、RNAのシス配列とそれに結合するトランス因子の詳細な解析から、小分子RNA産生とSpliceosomeの関係性に関する新たな知見をお話頂きました。
 今回のお二人の講演は、モデル生物は異なりますが、どちらも染色体上で起きるエピジェネティック制御に関する話題で、ヒストンのメチル化や小分子RNAによる制御など、その多くが互いに保存さていることも特筆すべきところだと感じました。二本立てで聞いた方々には、この分野の生物学的なおもしろさや重要性がより伝わったのではないかと思います。御講演頂いた角谷先生、道家博士、ありがとうございました。

日本学術振興会特別研究員PD 川上 慶


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