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分子生体情報学研究室〈月田教授〉

役職 氏名 Email TEL 研究・教育業績
教授 月田 早智子 06-6879-3320 詳細を見る
准教授 田村 淳 06-6879-3322 詳細を見る
助教 矢野 智樹 06-6879-3322 詳細を見る
FAX 06-6879-3329
研究室郵便宛先 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 (医学系研究科基礎研究棟3階)
大阪大学大学院 生命機能研究科 個体機能学講座/
医学系研究科 病理学講座 分子生体情報学(月田研究室)
月田研究室HP http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/tsukita/

主要研究テーマ

 研究の興味の中心は、上皮細胞シートで形成される生体内の「場」と細胞内の「場」の機能解析です。上皮細胞シートを形成するために、個々の上皮細胞は相互に強く機械的に接着し、体表面・器官表面を覆うシート構造を形成して、体内のコンパートメントを形成します。上皮細胞シートが機能的な隔壁としての役割を果たすために、上皮細胞は明瞭な極性を形成し、細胞膜は、内腔側のアピカル膜、細胞間接着装置の膜、および側面・基底膜側の膜に分化します。いわば、上皮細胞を「はちまきのように」取り囲む細胞間接着装置の形成に伴い、それを境に体の外側と内側の細胞膜に明瞭な違いが生じます。これら細胞内の「場」の解析について、分子レベル、個体レベルでの解析を行いつつ、大きく、生体内の「場」の構築原理と機能解析に迫りたいと考えています。
 私たちの多くの研究は、約15年前の「細胞間接着装置の単離法の開発」に始まります。その頃、私たちは上皮細胞間の接着に関与するであろうと思われていた細胞間接着装置を単離しようとしました。小腸上皮細胞のような単層上皮細胞では、接着装置複合体といって、一般にアピカル側からタイトジャンクション(TJ)、アドヘレンスジャンクション(AJ)、デスモソームという異なった3種類の細胞間接着装置が見られます。私たちは、最初、これらのうち、カドヘリンと呼ばれる重要な細胞間接着分子が働く場であるアドヘレンスジャンクションに注目し、この構造を単離しようと考えました。試行錯誤の結果、ラットやマウスの肝臓からの単離法を開発しました。この分画には、予想に反して、タイトジャンクションを始めとした上皮細胞を特徴付ける様々なタンパク質(AJ,TJ関連タンパク質、上皮細胞極性関連タンパク質、細胞骨格関連タンパク質、中心体関連タンパク質)も濃縮しており、この分画が私たちの宝の山となりました。この分画に濃縮する新しい蛋白質を解析するうちに、いくつかの新しい研究分野が開けてきました。


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1. アピカル膜の解析

 細胞のアピカル膜(頂端膜)には、微絨毛、プライマリーシリア(一次繊毛)などの特化した構造があります。それぞれの構築に必須な蛋白質として、各々、ERM(ezrin/radixin/moesin)蛋白質とOdf2を同定してきました。ERM蛋白質は微絨毛の構築に重要で、トランスポーターやその調節因子を集める働きもしており、種々の病態に関わることを明らかにしてきましたが、細胞内のシグナルとの関係はどうなっているでしょうか?細胞からOdf2がなくなるとプライマリーシリアが生えなくなりますが、体のほとんどの細胞がもつたった1本のシリアはどんな役割をしているのでしょう?現在、個体レベルを中心とした解析を進めています。

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図1 ERM蛋白質はRhoの下流で制御されている事を報告してきた。(左図) ERM蛋白質のノックアウトマウスは難聴 (Radixin) (右図)、胃酸分泌障害 (Ezrin)、Dubin-Johnson症候群 (Radixin) などの症状が確認された。

2. ZO-1の機能解析

 ZO-1は月田研究室においてマウス肝臓毛細胆管画分から同定された細胞間接着部位の裏打ち蛋白質ですが、最近ZO-1, Z0-2のない上皮細胞株を作製する事に梅田らが成功(Umeda et al. Cell 2006)し、ZO-1, Z0-2がTJの形成に対して足場を形成する機能である事を明らかにしました。この細胞をもちいた研究から、ZO-1/2の役割がいろいろ明らかになり、細胞骨格として働きながら、シグナル分子としても働くという多面性についてさらに研究を活発にすすめています。さらに、最近のノックアウトマウスの解析から、ZO-1がTJの調節するTotal Organizerとしての働きを持つことが示されました。ZO-1ノックアウトマウスは胎生致死となりますが、このことは、ZO-1が生体にとって決定的に重要な機能を担っていることを明確に示しているといえます。

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3. Claudinの機能解析

 Claudin(Tsukita Sh. et al. Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.2001)はTJ strand形成に必須の4回膜貫通蛋白質である。生体内においては24種類のclaudinが様々な組み合わせによりTJを形成しています。Claudinの多様性は細胞間バリアー機能の多様性にどう関与しているのでしょうか。最近の一つの例として、上皮細胞の増殖に関与している事が明らかになりました。

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図3 ノックアウトマウスの解析から、ある種のclaudinは細胞増殖制御に関与する可能性が考えられた。

4. 上皮細胞における増殖制御機構

 研究室の興味の中心である上皮細胞は、悪性腫瘍の90%の由来といわれます。そういった意味でも、上皮細胞独特の細胞増殖制御機構の解明が待ち望まれます。私たちの研究室で、20年以上前から進めて来たERMタンパク質やjunction構成タンパク質の解析が、実は、上皮細胞の細胞増殖の解析にも繋がっていることが、最近分子レベルで分かってきました。

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図4 細胞密度によって発現が変動する解析中の細胞間接着部位局在アクチン結合タンパク質。

5. Junction(細胞間接着装置)の解析

 細胞間接着なくして多細胞生物は成り立ちません。私たちの研究室では、古典的な生化学的手法に、様々な工夫を加えながら、細胞間接着部位 (Adherens junction, Tight junction)に特化した分画の分離に成功しました。その結果、Junctionを構成する多数のタンパク質の分離・同定・解析が可能になり、独自の路線で研究を進めてきました。ごく最近でも、更に工夫を凝らした解析技術を取り入れ、未知のAdherens junction構成タンパク質の解析を含む細胞間接着部位の総合的な理解を目指しています。

 

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図5 毛細胆管画分を2次元電気泳動に展開し、Junctionに濃縮したスポットを質量分析した。
  多数の新規膜タンパク質を同定し、RNAi法やノックアウトマウスを作製する事により機能を解析中である。

                                                                                                                    

 

 

「研究をエンジョイしていますか?」 いま、最先端の研究室では、なかなかこの質問を聞くことができません。効率を重視して、忙しすぎるのです。 この研究室では、「研究をエンジョイする」ことを基本におきたいと考えています。 個々の研究者が個々の自覚と責任のもとに研究をエンジョイできることを目指しています。 もちろん、エンジョイするということは、遊ぶことではありません。 うまくいかなくて、悩み苦しむこともエンジョイのうちです。 孤独にすきなようにやればよいということでもありません。 ひとりひとりが有機的にむすびついて「場」ができ、複数のひとが集まったときにひとりで行うより、何十倍も楽しめる、意味のある研究ができることが醍醐味であるとは思いませんか?

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