生命科学研究のフロンティア|大阪大学大学院生命機能研究科

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形態形成研究室〈蒲池准教授〉

役職 氏名 Email TEL 研究・教育業績
准教授 蒲池 雄介 06-6879-7964 詳細を見る
助教 内川 昌則 06-6879-7964 詳細を見る
TEL 06-6879-7964
FAX 06-6877-1738
研究室郵便宛先 〒565-0871 吹田市山田丘1-3 大阪大学大学院生命機能研究科
旧近藤寿人研究室HP http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/kondoh/
形態形成研究分野では、脊椎動物の発生とその基礎過程としての細胞分化を、その基本であるダイナミックな遺伝子発現調節という観点から研究している。細胞分化にかかわる細胞間・細胞内のシグナル分子と転写制御因子を出発点として、胚発生の統一的な理解を目指している。

1. 中枢神経系、感覚器原基をモデルとした、分化誘導機構の研究

外胚葉から中枢神経系や感覚器の原基がうまれる時には、まず近傍の組織から外胚葉に対して誘導の作用があり、そのシグナルが細胞内に伝えられて、Sox2などの制御遺伝子の特定の調節領域(エンハンサーなど)を活性化する。これらの調節領域の解析からプロセスを遡って行って、分化誘導の機構を明らかにする。水晶体分化に直接的に関与する転写制御因子(SOX2, PAX6など)の遺伝子の発現の制御とその転写制御因子の作用を解析することによって、水晶体誘導の分子機構を明らかにする。

01_img1.jpg図1 神経誘導シグナルに反応するSox2遺伝子のエンハンサーは、常にヘンゼン結節の周囲で活性化される。そのエンハンサーを持ったGFP(緑色蛍光蛋白質)を、ニワトリ胚全体に導入した例。

2. 水晶体分化、中枢神経系をはじめとする細胞分化の分子機構の研究

水晶体分化は、転写制御因子Pax6を広く発現する頭部外胚葉の中に、網膜原基からの誘導シグナルを受けた部分が第2の転写調節因子SOX2を発現することによって開始され、それらの因子がSix3, Mafなどの転写制御因子との相互作用をくり返しながらさまざまの遺伝子の制御領域に結合し、それらの遺伝子発現を調節することによって進行する。クリスタリンなどの構造蛋白質の遺伝子や、N-カドヘリンなどの形態形成に関わる分子の遺伝子などが、その調節の対象である。水晶体、中枢神経系などの組織分化の過程を、個々の細胞の分化と組織の形態形成の両面から研究する。

 

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図2-1 中枢神経系の原基である神経板は、SOX2を発現している。

 

 

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図2-2 水晶体誘導によってPax6とSOX2,SOX3が共発現されて、水晶体分化が開始される。

3. 細胞分化におけるSOX, Pax, POUなどの転写制御因子の間の相互作用の研究

細胞分化を直接的に調節する転写調節因子は単独で作用するのではなく、クロマチン上で異なった転写制御因子と直接的な複合体を形成して、遺伝子調節機能を発揮する。その転写制御因子間の複合体の分子的特性を明らかにする。

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図3 Pax6とSOX2が、δ-クリスタリン遺伝子エンハンサーのDC5領域DNAと相互作用することによって、クリスタリン遺伝子の発現が活性化される。

4. SOX転写制御因子群による細胞分化の制御

SOX転写制御因子群にはパートナー因子との相互作用によって活性を発揮するという、共通の際立った特徴があり、細胞分化の決定に重要な役割を果たしていると考えられる。この観点から、SOX転写制御因子の作用の分子機構を詳細に解析する。

 

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図4 SOXとパートナー因子の相互作用による細胞分化の調節

5. ZFHX1ファミリー転写制御因子の胚発生における役割

ZFHX1ファミリータンパク質はZnフィンガーとホメオドメイン様配列を同時に持つユニークな転写制御因子であり、δEF1とSIP1の二つの因子からなる。両者は胚の神経組織や中胚葉組織において強く発現し、DNA上のCACCT配列に結合して標的遺伝子の転写を抑制する。これまでの解析から、TGFβファミリーやヘッジホッグファミリーに属する細胞間シグナル分子の作用との関連が示唆されており、これらZFHX1ファミリー因子の胚発生過程における機能に関して、ノックアウトマウス等を用いて個体レベルで解析する。

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図5 SIP1ノックアウトマウスの表現型。 SIP1が体節や神経管の形成など、胚の基本的な形態形成過程に必須であることが示された。

6. 分化転換と組織再生の機構の研究

通常の細胞系譜からは外れた経路で細胞分化が起きる現象は分化転換と呼ばれ、組織の再生においてしばしば観察される。神秘的にも見えるこの現象は、転写調節因子の観点から解析すると極めて合理的に理解され、細胞分化の原理を解明する上で重要な情報を与える。様々な細胞に起原を持つ水晶体分化を比較検討し、特に両生類に見られる水晶体再生に注目して、その機構を研究する。

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図6  水晶体分化をもたらす多くの経路

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