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1分子生物学研究室〈上田教授〉

役職 氏名 Email TEL 研究・教育業績
教授 上田昌宏 詳細を見る
助教 宮永之寛 詳細を見る
研究室郵便宛先 〒565-0871 吹田市山田丘1-3
大阪大学大学院生命機能研究科 1分子生物学研究室
TEL: 06-6879-4611
FAX: 06-6879-4613
上田研究室HP http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/ueda/
QBiC研究室HP http://www.qbic.riken.jp/csd/ja/index.html

細胞は様々な生体分子から構成された複雑なシステムです。確率的にはたらく分子を要素として情報処理機能・運動機能などを有するシステムが自律的に組織化され,変動する環境に対して巧みに適応することができます。分子反応・分子運動の確率性に起因する"ゆらぎ"を内包した,ある種の確率的な演算システムとして細胞を見なすことができます。近年の1 分子イメージング技術の進展により,細胞内の分子の振る舞いを直接観察し,その確率的特性を明らかにすることが可能になってきました。我々の研究室では,こうした1 分子イメージング技術と数理モデリング、及び、合成生物学的手法を走化性シグナル伝達システムに適用し,システムの構築原理と演算原理を1分子粒度の解像度で解明することを目指しています。

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1. 細胞内1分子イメージング自動解析法の開発

細胞内1分子イメージング法は開発されて15年以上経ちますが、現在でも画像データの取得や解析には多くの人手と時間を要します。また、統計解析のための専門的な知識と職人的な実験技術が必要とされており、 新規に1分子研究を始めようとされる方々にとって大きなバリアとなっています。これまでの15年間に、我々のグループでは7種類のシグナル分子について1分子レベルの解析を進めました。しかしながら、走化性シグナル伝達システムの全貌を明らかにするにはさらに20〜30種類程度の分子について解析を進める必要があり、現在の解析速度では絶望的です。そこで我々のグループでは、1分子画像データの取得と解析過程を自動化することにより、ハイスループット化された細胞内1分子イメージング自動解析システム( Automated In-cell Single-molecule Imaging System, AISIS)の開発を進めています。こうした技術開発を通して、細胞内1分子イメージング解析法を生命科学に真に実用的な計測技術にしたいと考えています。

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2. 走化性シグナル伝達システムの1分子生物学

細胞が環境の誘引物質の濃度勾配を認識し、方向性のある運動を行う性質を一般に走化性と言います。真核生物においては、免疫応答や神経回路形成、形態形成等のさまざま生理現象で観察されます。細胞性粘菌Dictyostelium discoideumは、こうした走化性の分子メカニズムを調べるためのモデル生物として良く知られています。粘菌細胞は分子反応の確率性に由来する分子ノイズの強い影響の中で微弱な濃度勾配シグナルを検出できることが分かってきており、確率的なシグナル伝達の仕組みを研究する対象として注目されています。ノイズに満ちたシグナルから適切に情報を取り出し、安定した応答を実現するために、細胞内ではどのようなタイプの反応が用いられ、それらを組み合わせた反応経路はどのようにデザインされているのでしょうか?この問いは、ゆらぐ世界で機能する細胞内シグナル伝達システムにおいて一般的に成り立つ重要な問いです。

1 分子イメージング技術の進展により,細胞内のシグナル分子の振る舞いを直接観察し,その確率的特性を明らかにすることが可能になってきました。そこで我々は,誘引物質濃度勾配の認識から細胞運動の制御にいたる走化性シグナル伝達過程を細胞内1 分子イメージング技術を用いて解析することにより、熱ゆらぎの影響を受けながらはたらくシグナル伝達分子(例えばGPCR型走化性受容体、三量体G 蛋白質、PI3-kinase、PTEN、Akt/PKBなど) の確率的な振る舞いを明らかにすることを目指した研究を進めています。実験的に決定されたシグナル分子の確率的特性に基づいて数理モデルを構築することにより、走化性シグナル伝達の分子メカニズムを1分子粒度の解像度で明らかにします。

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3. ErbB 受容体によるシグナル伝達の調節機構

細胞膜に局在し、細胞外からのシグナルを細胞内に伝達するErbB 受容体はErbB1からErbB4 までの4 種類から構成され、それぞれに特異的なリガンドが知られています。細胞内のシグナル伝達経路も受容体ごとに異なっているため、リガンド-受容体の組み合わせによって細胞の応答も変わってきます。例えば、上皮成長因子(Epidermal Growth factor, EGF)をリガンドとするErbB1 は、EGF 受容体(EGF receptor, EGFR)とも呼ばれ、主に細胞増殖に関与しています。そのため、ErbB1 の発現量の調節が出来なくなったり、変異によって機能が損なわれると、細胞の増殖に異常をきたし癌など重篤な疾病の原因となります。

蛍光プローブを結合させたErbB 分子の1 分子イメージングにより、細胞膜上の個々の受容体を直接観察することができます。得られた画像中の蛍光輝点の運動軌跡や蛍光強度を解析することで、分子動態やリガンドとの相互作用、他のシグナル伝達分子との反応に関する詳細な情報が得られます。私達はこれらの情報を基にシグナル伝達の調節機構を理解し、細胞応答が決定されるプロセスをはじめ、疾病の発症や進行のメカニズムを明らかにすることを目指しています。

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その他、以下の項目についても研究開発を進めています。

4. 走化性シグナル伝達システムの合成生物学

5. 免疫細胞の走化性応答、細胞運動の1分子イメージング解析

6. 細胞性粘菌の発生過程における多細胞体形成のイメージング解析


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