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タイトジャンクションを起点とした新たな微小管構造の発見とその解析

論文誌情報 J Cell Biol 203, 605-614 (2013)
著者 矢野 智樹(1),松井 毅(2),田村 淳(1),氏 昌未(1),月田 早智子(1)

Tomoki Yano (1), Takeshi Matsui (2), Atsushi Tamura (1), Masami Uji (1), Sachiko Tsukita (1)

  1. Laboratory of Biological Science, Graduate School of Frontier Biosciences and Graduate School of Medicine, Osaka University, Suita 565-0871, Japan
  2. Laboratory for Skin Homeostasis, RCAI, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences, Tsurumi-ku, Yokohama 230-0045, Japan
論文タイトル The association of microtubules with tight junctions is promoted by cingulin phosphorylation by AMPK
研究室HP 分子生体情報学研究室〈月田教授〉

図1.上皮細胞には中心体から伸びるCentrosomal microtubule...

解説

 大阪大学生命機能研究科/医学系研究科の月田早智子教授と矢野智樹助教らの研究グループは私たちの体を包み込んでいる上皮組織を構成する上皮細胞のアピカル面直下に新たな微小管構造を発見しました。



研究の成果

 上皮細胞は細胞接着装置により隣り合う細胞と繫がり上皮細胞シートを形成しています。その細胞接着装置の一つであるタイトジャンクションは細胞のアピカル側に存在しており、細胞間隙からの物質の往来を制限しています。また、今日まで上皮細胞にはcentrosomalな微小管構造とnon-centrosomalな微小管構造があり、上皮細胞が終分化するとnon-centrosomalな微小管構造が上皮細胞の上下に走行するのみが存在する事が知られていました。
 この度、私共の研究グループは超解像顕微鏡を用いる事で上皮細胞のアピカル面直下に配向するnon-centrosomalな微小管構造が存在する事を初めて発見し、この微小管構造がタイトジャンクションにend-on様式で結合するのではなく、微小管のサイドで結合することを示しました。さらに詳細を調べていくと、微小管とタイトジャンクションを繋ぎ合わせているのはcingulinと呼ばれるタイトジャンクション構成タンパク質であり、cingulinがAMP活性タンパク質キナーゼ(AMPK)によりリン酸化されることにより微小管と結合している事を突き止めました。また、細胞の3次元培養法を用いて解析を行うと、上皮細胞のアピカル膜直下に配向する微小管構造の異常により細胞の形態形成に変化が現れる事を示しました。



今後の展開

 今後の更なる研究により新たな微小管構造の生体における機能や役割について明らかになって行く事でしょう。また、AMPKは生体の代謝異常による疾病やガン化メカニズムにおいて非常に重要な働きをしていることが知られており、AMPKからタイトジャンクションへの新たなシグナル伝達経路を見出した事は、今後のガン研究や代謝学の発展に大きく貢献できるものと考えられます。

図1.上皮細胞には中心体から伸びるCentrosomal microtubules(青)と細胞の上下に伸びるnon-centrosomal microtubules(茶)が知られていたが、今回初めて細胞のapical面直下にmicrotubulesの網目構造(緑)を発見した。

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図2.上皮細胞には中心体から伸びるCentrosomal microtubules(青)と細胞の上下に伸びるnon-centrosomal microtubules(茶)が知られていたが、今回初めて細胞のapical面直下にmicrotubulesの網目構造(緑)を発見した。

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